弱点はバッテリーの冷却に時間がかかること

 ところが三重から奈良に抜ける自動車専用道路、名阪国道を走行中に月ケ瀬の美しい渓谷が目に入り、うっかり寄り道をしてしまった。アップダウンのきつい山道を延々走ったことで走行距離はみだりに延び、電力消費率は落としてしまうというダブルの被害。

奈良・月ケ瀬にて。高速充電器が増えたおかげで寄り道の余地が増えた

奈良・月ケ瀬にて。高速充電器が増えたおかげで寄り道の余地が増えた

 姫路の手前、兵庫の神戸や明石にも200アンペア機があることはわかっていたが、岡山の倉敷を過ぎると広島まで200アンペア機はない。鹿児島まで5回のストップでたどり着くという構想を実現させるには、何としても姫路まで届かせたい。

 阪神高速からは省電力を意識した走りに切り替え、低落した電力消費率を何とか7.0km/kWhまで戻しながら235.3km走行。バッテリーの充電率3%で何とか姫路の充電スポットにたどり着いた。

 ここで30kWh入れることができれば、省エネを意識した走りで何とか広島に届くはず……という皮算用を立てていたのだが、充電開始時の電流は146アンペア。200アンペアの73%のスピードしか出ていないということだ。その数値を見た時点で鹿児島まで5回充電でたどり着くという構想は崩れた。30分の充電電力量は23.6kWh。

 電流が上がらなかった原因として考えられるのは前回の急速充電で上昇したバッテリーの温度が十分に下がっていなかったこと。

 実はバッテリーの温度上昇はリーフの弱点のひとつ。たとえばテスラ車やHonda eはバッテリーに強力な冷却機構を備えており、繰り返し急速充電しても狙いどおりの電力量を充電できるが、リーフはバッテリーを強制冷却する機構を持たないので、いったん温度が上がったら冷えるのを待つしかない。観察したところ、気温が高い時は完全に温度が下がるには半日以上を要するようであった。連続ドライブで一度に30kWh以上充電されるのは最初の1回だけということになる。

姫路ではバッテリー温度が上がり、四日市の7割ぐらいしか入らなかった

姫路ではバッテリー温度が上がり、四日市の7割ぐらいしか入らなかった

 姫路を充電率45%でスタート。とても広島までは届きそうにないため、112.3km先の岡山・倉敷で3回目の充電。充電インターバルが短いとバッテリーを冷ます時間も短くなるので、コンディションはさらに厳しくなる。フルパワーの6割ほどの121アンペアで充電開始。30分での充電電力量は20.1kWh。そこから142.1km先の広島で行った4回目の充電では110アンペアスタート、充電電力量18.2kWh。

 この時の充電率は51%、推定航続距離は1%あたり4km走れるとして約200km。広島から鹿児島までは600km弱なので、頑張れば充電あと2回、合計6回でたどり着ける計算である。そのためにはどんなにパフォーマンスが落ちても旧型の充電器よりは多くの充電量が確保できる200アンペア機を使うことがマスト。

 この条件でウェイポイントを探すと、まず山口の新下関で充電。次に福岡・久留米ないし熊本で充電するという道があった。久留米の場合は最後の充電から約260kmを無充電で走らなければならない。熊本の場合はその先が約200kmと楽になるが、そこにたどり着くまでにひとつ余計に山越えをしなければならない。

山口・長沢池にて。性能はまだまだ不足しているが、第1世代EVに比べると長距離ドライブのしやすさは隔世の感

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 とりあえず新下関でどのくらい充電できるかを見て決めよということで、185.1km走行し、バッテリー充電率4%で充電スポットに滑り込んだ。広島と新下関の間で一夜を過ごしたが、バッテリーは完全に冷え切らず、充電器はフルパワーの8割ほどで機能。充電電力量は25.9kWh、充電率は4%から50%に回復した。

 ここでせめて55%くらいに達していたら、熊本へのリーチを試みていただろう。が、前述のように山越えが1つ加わることを思うと無理はできない。少し早めに久留米で充電し、後は行けるところまで行くという方針を固めた。

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