「20代に戻ったようだ」
幹細胞治療を体験するため、東京予防医療クリニックで実際に施術を受けたのが、冒頭の54歳記者だった。加齢とともに元気がなくなり、薬局で売っている精力剤やサプリなどを試していたが、40代後半になるといよいよ厳しくなった。50歳になってバイアグラを試したら一時的に効果があったものの、服用後に頭痛や倦怠感が出たので怖くなり、薬に頼るのはやめた。
診察ではまず、「国際勃起機能スコア」を利用した問診票を記入する。《性交中、挿入後何回勃起を維持できましたか》《性交を試みた時、何回満足に性交ができましたか》といった問いの答えをスコア化する問診で、記者は14点。「中等度の症状」と診断された。その後は医師から幹細胞治療の説明を受けた。
事前に治療を決めていた記者は、その日のうちに注射を打つことに。麻酔もないまま、陰茎の左右海綿体に針を刺され、液体が注入される感覚を直に感じる。1回の治療で2本注射を打ったが、アッという間のことで痛みはほとんどない。
ちなみにゴムバンドは、注射後に幹細胞培養上清液が陰茎の海綿体に行き渡り、その他の部分に流れ込まないようにするために使用する。圧迫感はなく、施術から20分後に外してもらい、治療は終了した。治療後は特に違和感もなく、排尿時にも痛みなどの症状は出なかった。
驚いたのは、翌朝だ。痛いほどに「朝勃ち」しているではないか。日常生活のふとしたタイミングでも敏感に反応するようになり、20代に戻ったようだ。若い頃の感覚を久しぶりに味わった。
前出の銀座ソラリアクリニックで半年前に幹細胞治療を受けた60歳男性のA氏は、計4回の注射を終え、従来の治療とは違う効果を実感していると語る。
「薬はコトに及ぶ前に飲む必要がありますが、幹細胞治療は一度治療を終えたら勃ってほしい時にナチュラルに勃起できる。薬を服用していた時は、『妻にバレたくない』と変なプライドからストレスがたまりましたが、幹細胞治療によってその心労から解放されました。1回5万5000円と割高ではありますが、この効果はお金に代えがたい」(A氏)
古賀医師によれば、1~2年経って勃起力が少し落ちてきたと感じた場合、「もう一度注射を打てばさらに1年は効果が持続します」とのことだ。
一般的なED治療薬である正規品のバイアグラを服用すると、年間で約20万円弱の費用がかかる。費用と効能、そして行為前に錠剤を飲む手間とプレッシャーを鑑みれば、幹細胞治療はむしろ費用対効果の面で優れていると言えるだろう。