大野智の『忍びの国』でも、忍者は信じられない高さで飛び回っていた。現在は、映像技術ですごい技を見せられるし、CGなどがない時代も、合成、ミニチュアなどを使った特撮技術でファンを喜ばせた。こども向け忍者シリーズの名作『仮面の忍者 赤影』の取材をした際、ベテラン忍者・白影が得意技の大凧に乗って味方を救出する場面で、実際に大凧に俳優(アクション俳優ではなく、名脇役として知られた牧冬吉さん)を乗せて撮影所の屋上から吊るしたこともあったと聞いて、驚いたこともある。
しかし、舞台では映像も使われるが、限られたスペースと俳優の身体表現が基本だ。Travis Japanの面々は、舞台を走り、転げ、闘い、さらに踊り、歌う。衣装もアイドルらしく華やかに次々変わるし、殺陣も素手あり刀あり。見せ場のひとつとなるトランポリンは、5.5メートルの高さだという。実在の忍者がこの高さを跳んだかは別として、見ていると、もう、どんどん跳んでください!!という気になる。
多くの人たちのアイデアと努力によって忍者エンターテインメントは磨かれてきた。今後も千葉さん、白土先生をうならせる新作が次々生まれることを期待したい。