100万円はその日に通帳に入れた
11月20日、地元・大阪市内の街頭演説会では、大石氏の演説目当てに聴衆約150人が駅前に集まっていた。大石氏は「橋下に噛みついた女です!」と登壇。文通費100万円については、「政治資金としては正直足りない。れいわの政策を実現させるにはもっとお金がいる。ルールに基づいて政策実現のために有効利用させてもらう」と訴えた。自民党や立憲民主党が日割り法改正で一致し、維新も法改正に前向きであることに関しても「政治にお金がかかるという本質を知りながら『100万円問題』に矮小化する維新に屈服していいのか」と対決姿勢を鮮明にした。
大石氏はなぜ政権与党の自民党ではなく、維新を倒すという点を強調しているのか。本人を直撃するとこう答えた。
「確かに国民にはわかりにくいかもしれません。私が府庁職員時代に橋下さんが知事になってから、非正規雇用を増やし住民サービスをカットする維新行政が続いている。今も国にお金がないと言い募って文通費の節約を主張し、社会保障の削減にも手をつけるつもりです。しかし、本当にそれでいいのか。大阪の維新行政を変えていくことは、全国的な政治課題でもあると考えています」(大石氏)
先の衆院選、大阪では維新の候補者が小選挙区で全勝するなど、吉村知事への支持は圧倒的に見えるが、コロナ禍のなか昨年秋に100億円を費やして都構想住民投票を行なったことや道路の白線が剥がれ落ちている場所が目立つなど住民サービスの低下に不満を抱く府民・市民も少なくない。大石氏が小選挙区で落選しながら近畿比例ブロックで復活して議席を獲得したことからも、民意が維新一色ではないことが窺える。
文通費を「維新を倒すために使う」と掲げた大石氏に対して、橋下氏は「政治活動は政党交付金でするもの、もっと勉強しろ」と批判したが、その指摘について大石氏に問うと、こう答える。
「あの100万円はその日に通帳に入れました。東京の事務所など議員生活の初期投資だけで500万円はかかる。国会論戦するためのあらゆる費用じゃないですか。維新議員だって、文通費を自分の政治団体に寄付して人件費などにしている。やっていることは一緒でしょ」
この日はれいわ新選組の山本太郎代表が大阪と兵庫などで参院選に候補者を擁立して維新の牙城に攻め込む対決姿勢を打ち出した。文通費100万円を巡る攻防が今後どう展開していくのか、引き続き注目だ。