寺島:宣伝の人がよく私の主演映画のタイトルにアイドルの歌や映画からパクった言葉を入れてましたね。「青い珊瑚礁」「情婦はセーラー服」「まちぶせ」「聖子の太股」……。ポップで明るい作品で、「え~っ」とか言いながら男の子の望みを受け入れちゃう役で、大学生の皆さんから「寺島さんのおかげで日活の劇場に入りやすくなった」と言われたのは嬉しかったです。
小川:後に『リング』を監督して大ヒットさせる中田秀夫さんが助監督をやっていて、セットの隅で浣腸の道具を準備していたのね。あの人、東大出身だから「東大まで出て、なんでそんなことしているの?」って聞いたら、「映画が好きなんです」って。
寺島:私のデビュー作を撮ってくれた白鳥さんも東大だし、びっくりするくらいエリートが多いの。
小川:そういう人が助監のときはバカ呼ばわりされながら走り回っていたでしょ。すごいよね。『瓶詰め地獄』という作品で、アクリル製の瓶の中に入れられて新島の海に流されるシーンがあって、助監督が「これ以上やったら小川が死んじゃう。中止だ!」って監督相手に怒鳴ったの。こんなに真剣に考えてくれているんだと思って感激したのを覚えている。
寺島:私、デビューが19歳だったから、初めて裸になるときは辛くて、カットがかかった瞬間、その場にしゃがみ込んで泣いちゃった。そうしたら白鳥監督が私をスタジオの外に連れ出して「大丈夫、大丈夫」って励ましてくれたのを今でもよく覚えています。
風祭:濡れ場シーンの途中でカットがかかると、男優さんは「次のシーンまで動くな」って言われて裸のままその場にいさせられたけど、私たち女優には助監督さんがすぐにバスローブを持ってきてくれたよね。
小川:男優さんは大変だったと思いますよ。SMシーンをやりながらでも女優にちゃんと照明が当たるように体の向きを調整してくれたり、オッパイが大きく見えるように上手に揉み上げてくれたり。男優さんもスタッフも全然いやらしい視線はなくて、私たちのことは“裸の衣装”を着ているという目で見てくれていた。
風祭:そう、そう。真剣なスタッフばかりで、充実していたあの現場にいられて幸せだったな。