国内

3回目接種、世界から遅れを取る日本 国産ワクチンの開発はまだ先か

(共同通信社)

3回目接種で日本は世界各国に後れをとっている(共同通信社)

 新型コロナウイルスの感染が全国的に収まる一方、各地でクラスターが散発するようになってきた。顕著なのが連日、感染者数が全国最多の北海道だ。札幌市内の医療機関で計53人が感染するクラスターが確認され、ワクチン2回接種後に感染する「ブレークスルー感染」もみられたという。

 さらなる感染拡大が懸念される。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広さんの指摘。

「新型コロナには季節性がみられます。昨年は10月末からコロナの感染が拡大して、1月上旬にピークを迎えました。これから冬本番を迎える日本では、年末か年明けに向け、第6波による感染拡大が起こる可能性が高い」

 それに追い打ちをかけるのが、ワクチンの“効果切れ”だ。

 11月16日、松野博一官房長官は、日本のワクチン2回接種率が75.5%に達し、先進7か国(G7)でトップになったと胸を張った。高い接種率が感染拡大や重症化を防いだ格好だ。しかし、それも束の間、世界の研究では接種完了から時間が経過するとともに、ワクチンの効果が減少することが多数報告されている。

「コロナワクチンは接種から1~2か月は感染をほぼ予防(約80%)して、その後、徐々に効果が低下します。ファイザー社によれば、日本に第5波をもたらしたデルタ株の場合、ワクチン2回接種から4か月目に感染予防効果が53%まで低下します」(上さん)

 横浜市立大学の最新の研究でもファイザー製の接種後6か月で、感染を防ぐ抗体の強さや量を示す「抗体価」はピーク時(接種1~3週後)から90%減少した。藤田医科大学の研究ではファイザー製の接種後3か月で、抗体価は4分の1まで減少した。

 高齢者などに先んじて、今年初めから接種が始まった医療従事者への影響は大きい。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが指摘する。

「医療従事者への早期の3回目ワクチン接種が重要です。国内では2月に医療従事者への先行接種が始まり、その際に接種した人はすでにワクチンの効果がかなり減弱していると考えられます。今後はそうした医療従事者から感染が拡大する恐れがあります。実際、アメリカの疾病対策予防センター(CDC)は、2回目接種の6か月後には医療従事者が追加接種をすることを推奨しています」

 3回目接種の効果は明らかだ。ワクチン先進国のイスラエルは、ワクチン3回接種群と、2回接種群の入院者の割合を比較した。その結果、3回接種群は10万人あたりの入院者は14.4人だったが、2回接種群は220.8人に達した。3回目を接種することで、新型コロナで入院する割合が93%も減少したのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト