8か月と6か月では全然違う

 世界では3回目接種が進む。

「追加接種で世界をリードするイスラエルは、2回目から5か月で3回目接種を行い、イギリスでは6か月だった3回目接種の間隔を5か月に短縮することが議論されている。規制緩和で感染者が増えた韓国は60才以上や基礎疾患を有する人などを対象に、6か月だった3回目接種の間隔を4か月まで短くした」(上さん)

 アメリカはこれまで高齢者などに限っていた3回目接種の対象を、2回目から6か月以上経った18才以上の全員に拡大。ベルギーやハンガリーも2回目完了から4か月後の追加接種に踏み切った。

 3回目を打たない人が不利益を被る国も増えている。

 フランスでは12月15日以降、65才以上は3回目接種をしない限り、飲食店などの利用時に必要な「健康パス(接種完了を証明するパス)」が無効になる。

「イスラエルも3回目のワクチン接種をワクチンパスポート更新の条件にしています。この先、多くの国が3回目接種を規制緩和の条件にすると考えられます」(一石さん)

 そうした世界の流れに後れを取っているのが日本だ。

 厚労省は3回目接種の間隔について、2回目接種から「原則8か月以上」とする。地域でクラスターが発生するなどで感染が再拡大した場合は6か月以上も可能とするが、その根拠は曖昧で、各自治体から戸惑いの声があがる。

 上さんは「原則8か月以上では間に合わない」と語る。

「日本は諸外国より接種開始が遅れたことが幸いし、現時点でワクチンの効果減少による感染拡大は起きていません。しかしこの先は、医療従事者とともに先行接種した高齢者が“危険ゾーン”に入ります。特に8月下旬に中学生以上の集団接種を完了した福島県南相馬市のように、ワクチン接種を迅速に進めた地域の高齢者が危ない」(上さん)

 8月中旬に国民の4割が2回目接種を終えた日本。それらの人たちは今冬、抗体価がかなり減っていると思われる。

 8か月と6か月では対象者が大きく変わるのも懸念点だ。接種間隔が8か月の場合、12月と来年1月に3回目接種となるのは医療従事者のほか、高齢者施設の入所者などである。しかし、間隔を6か月にすると、高齢者施設の入所者より後に接種を始めた65才以上も対象に含まれる。

 もはや打つかどうかではなく、「いつ打つのか」が問題となっている3回目接種は、ファイザー製とモデルナ製(現在、薬事承認審査中)が使用される予定だ。これまで原則として同じワクチンを接種することが求められてきたが、3回目接種では2回目接種と違うワクチンを接種する「交差接種」も可能になる。3回目に違うワクチンを打っても大丈夫なのだろうか。

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