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ゲーセンの経営を支えるクレーンゲーム マニアも知らない「グレーな実態」

1993年、新宿区歌舞伎町のゲームセンターで夜遅く、クレーンゲームに興じる若者たち(時事通信フォト)

1993年、新宿区歌舞伎町のゲームセンターで夜遅く、クレーンゲームに興じる若者たち(時事通信フォト)

 コインを入れると操作できるボタンやジョイスティックでクレーンを前後左右へ動かし、透明な箱の中に積まれている景品をつかみとる「クレーンゲーム」は、ゲームセンターだけでなくスーパーマーケットや映画館、観光地などにもある敷居の低いアーケードゲームだ。景品をクレーンでつかむのが簡単ではないことでも知られているが、近年ではまったく景品をとれないように設定する「クレーンゲーム詐欺」や景品の偽物、模造品が摘発されている。俳人で著作家の日野百草氏がゲームセンターの現状、クレーンゲームの運営そのものがグレーな仕組みで成り立っている実態についてレポートする。

 * * *
「クレーンゲームね、大半のところはグレーでしょうね、そもそも厳密には違法ですし」

 関東の古びたリサイクルショップ、積まれた生活用品、家電の山に埋もれるように店主(60代)はいた。店でひときわ華やかなのが入り口の旧型クレーンゲーム、そのケース内ではファンシーなぬいぐるみが色あせている。店主はかつて、いまはなき中堅メーカー系ゲームセンターの店長もしていた。現在もグレーな関わり(言及はしない約束)ながら、独立系を中心にアミューズメント業界に精通している。

「高価な人気ゲーム機をクレーンゲームの景品にする、あれも本来は違法です」

 ほのぼのとしたクレーンゲームのイメージにそぐわない「違法」という物騒な話、こうしたクレーンゲームの類を総じてプライズゲーム(「UFOキャッチャー」はセガ固有の商標)と呼ぶが、いわゆるゲームセンター、風営法5号(改正前は8号)営業店舗のクレーンゲームは「おおむね800円以下のものを提供すること」という解釈基準により特別に「許されて」いる。風営法第23条2項で「遊技の結果に応じて賞品を提供してはならない」とあるものの「(違法と)当たらないものとして取り扱う」という特例(本旨ではないため個々の法解釈は言及しない)でお目こぼしを受けている状態だ。昭和の時代からガムやチョコ、キャンディー程度なら黙認されてきたがクレーンゲームも警察次第、業界の自主規制で運用されるグレーな存在である。もちろん高額景品なら射幸心を煽る「賭博」とされる。

「でもね、プリクラもありますけど、やっぱり稼げるのはクレーンゲームですから」

 日本アミューズメント産業協会(以下JAIA)によれば2019年のクレーンゲームを筆頭としたプライズゲームの売り上げは2988億円で総売上の55.3%を占める。いまやゲームセンターの売り上げの半分以上はプライズゲーム、とくにクレーンゲームだ。JAIAは主に5号営業を対象とした業界団体で今回、取材で疑問点など回答を得たので、その内容を逐次注釈とした。また、本稿ではプライズゲーム全般を便宜上クレーンゲームとする。

「(高額景品は)ボウリング場とかショッピングモールとかね、ゲーセンより好き勝手です」

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