2021年7月に娘が1歳になった
また、家族や親戚に大腸がんの経験者がいる人は要注意のようだ。聖マリアンナ医科大学臨床腫瘍学講座教授の砂川優さんの解説。
「大腸がんの罹患には遺伝的要因のほか、食べ物の好みなど生活習慣が似ているので、家族集積性があるとされます。大腸がん患者のうち、既往歴を持つ家族がいる人は全体の25%にも上ります」
若年層でも大腸がんになるリスクがある遺伝性の腫瘍「リンチ症候群」や、腸に多数のポリープができる「家族性大腸腺腫症」などの遺伝性大腸がんは5%ほどとされる。
近親者に大腸がん経験者がいないからといって安心というわけではない。福岡大学医学部消化器外科教授の長谷川傑さんが話す。
「肥満や糖尿病を抱えている人、喫煙している人は大腸がんのリスクが高まるという研究結果が出ています。海外では運動不足の人が罹患しやすいという報告もありました」
男性の大腸がんが、罹患数、死亡数ともに全がん中で3位であるのに対し、前述のように、女性の大腸がんは罹患数2位、死亡数1位。なぜ、女性の大腸がんが多く、しかも深刻化するのか。
「女性にとって腹痛は身近な症状ですよね。若い頃から便秘の人も多いですし、胃腸とは別に、生理痛など婦人科系の痛みを抱える人もいます。腹痛は日常茶飯事だから見逃しやすいという部分は、少なからずあるでしょう。
また、過度なダイエットをしてしまう女性や、デスクワークばかりであまり動かない女性が一定数いるということもあると思います」(長谷川さん)
ただ、若い女性が大腸がんに罹患することは珍しいという。長谷川さんが続ける。
「大腸がんの発症は、だいたい40才くらいから増え始め、ピークは70才くらい。ですから、21才という若さで宣告をされた遠藤さんは、とても珍しい。私の病院では年間200?300人が大腸がんの手術を受けますが、そのうちAYA世代は数人程度。割合でいえば数%の少なさです」
AYA世代とは「思春期・若年成人」を指す英略語で15?39才の世代を指す。学業や就職、結婚、出産などのライフイベントが重なる時期であることから、病気が人生に及ぼす影響が大きくなりやすい。
※女性セブン2022年1月1日号