「アニマル桃太郎」入口の電柱には、長時間の路上駐車は御遠慮くださいという注意書きが電柱に貼られていた。

「アニマル桃太郎」入口の電柱には、長時間の路上駐車は御遠慮くださいという注意書きが電柱に貼られていた。

「地方のブリーダーは有力者や地主が多い、地元で恐れられている人とか、やめときな」

 筆者は何度かペットショップの闇について取り上げているが、今回も懇意にしているペット業界の元関係者から咎められた。以前はホームセンターに併設されている某ペットショップチェーンについて書いたが、その時も「あそこは本当にヤバいから」と注意されている。地方のブリーダーすべてが悪質だとは言わないが、生き物なのに工業製品をつくるようなつもりでいる業者がいるのも事実だ。そういう人たちを相手にすると、保護団体もボランティアもスラップ訴訟や嫌がらせを受けるので国や自治体に陳情するしかない。筆者も書くたびに匿名の脅迫が来る。

「ペット業界(の中)にはヤバい連中もいるんだよ。パピーミルがまともなわけないだろう」

 パピーミルとは子犬を産ませる工場でつまるところ「赤ちゃん工場」である。犬の女の子を大量に囲い、ひたすら赤ちゃんを産ませる工場だ。本稿ではあえてナチスドイツのアーリア人増殖施設「レーベンスボルン」になぞらえ「赤ちゃん工場」とさせていただく。いや、それより酷い最低限の餌と水だけで窮屈な囲みの中で一生、年2回の発情期のたび赤ちゃんを産んでは種つけを繰り返す赤ちゃん製造工場である。人間の赤ちゃん工場は20世紀のナチスドイツはもちろん21世紀の現代でも人身売買、臓器売買目的の施設がナイジェリアや中国山東省で摘発されているが、この日本にもペットに限ればそうした絶望工場は存在する。いや、現にこの松本には存在した。

文句は言えない相手ですから

「何も知らないよ」

 ビニールハウスの前にいた男性に話しかけるとこちらも手で払われた。少し先の電柱には「犬舎 アニマルモモタロウ」とあるのに。広大な農地が広がるばかりで見渡しても集落はわずか、仕方のない話だが、地縁を考えればこういった対応をせざるを得ないのだろう。

「お客様へ 長時間の路上駐車は御遠慮ください。何かありましたら店員まで御連絡下さい」

 とあるので周辺住民は何が行われていたかはともかく、あれだけの犬の数、ここで取引が行われていたことは知っていたはずだ。何もかも筒抜けであろう集落の住宅数を考えても知らないわけがない。路上駐車に苦情があったであろうことは張り紙でもわかる。実際の赤ちゃん工場は中山など他に数カ所存在したが、行ってみると跡形もなく消えていた。

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