芸能

立川志らくインタビュー「談志という名前を継ぐ気はなくなりました」

「談志」を継ぐ気がなくなった理由は?

「談志」を継ぐ気がなくなった理由は?

 いまやテレビでその姿を見ない日はない立川志らく。彼が伝説の落語家・立川談志の愛弟子だったことを知らない世代も増えていることだろう。だが志らく自身は、没後10年、片時も師匠のことを忘れたことはなかったという。志らくにインタビューを行った。【全3回の第1回】

 * * *
 談志が死んで10年が経ちますが、亡くなった時に談志が自分の中に降りてきて、今も日々対話をしているので、月日が経った実感はありません。それは魂がどうのといったスピリチュアルな意味ではなく、伝統芸能というものは各々の弟子の中に師匠が残って、芸を極めていくものだと思っているので。

 いつも高座が終わった後に、心の中で「師匠、今日はこんな落語をやりましたけどどうですか?」と問いかけて、「あそこがダメだ、ここがダメだ」と怒られるんじゃないかとか、これなら「よくやったな」と言ってくれるんじゃないかとか、いろいろ相談しながらやっています。

 談志の師匠にあたる柳家小さん師匠が亡くなった時に、談志が葬式に出なかった理由を聞かれて「小さんは心の中に生きている」と言っていた意味が、今はよく分かります。談志は落語協会会長だった小さん師匠に反発して協会を飛び出して、立川流をつくりました。それでお葬式にも出なかったから、2人の関係を分からない外野からはいろんなことを言われました。しかし談志の真意は、伝統芸能において師匠は死ぬものではないということだったのです。

〈この10年で志らくには大きな変化があった。ワイドショーやバラエティなど、テレビに出る機会が増えて認知度が上がったことだ〉

 今の姿を、談志はきっと喜んでいるはずです。

 談志が生きていた頃は、テレビに興味がなかった。テレビに出なくても落語だけやっていればそれでいいんだと思っていたし、妙に名前が売れてしまうとイメージが固定化されて、落語がやりづらくなると分析していた。しかし、談志が亡くなった後、私の知らないところで「あいつはなぜテレビに出て売れようとしないんだ」「なぜ全国区になろうとしないんだ」と言っていたことを知りました。「テレビに出るくらいで落語家としての芸がダメになることはない」ということだったのでしょう。

 だから、今の私を見ても、「当然だろう」と言うくらいで、ビックリはしないと思います。もっとも、テレビばっかりやっていると「いつまでも遊んでいるんじゃねえよ」と言うだろうし、コメンテーターとして常識的なことばかり言っていると、「もっと非常識なところで生きろ」と言うだろうとは想像できます。

 思い出すのは、ある独演会のトークショーの時に「談志の名前は誰に継がせるんですか?」と司会者が談志に尋ねた時のことです。しばらく考えた談志は、舞台袖にいる私に「出てこい」と呼びかけました。洋服姿でしたが呼ばれたので出て行くと、そのタイミングですから会場は大盛り上がりです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
AIの技術で遭遇リスクを可視化する「クマ遭遇AI予測マップ」
AIを活用し遭遇リスクを可視化した「クマ遭遇AI予測マップ」から見えてくるもの 遭遇確率が高いのは「山と川に挟まれた住宅周辺」、“過疎化”も重要なキーワードに
週刊ポスト
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン