田原氏の場合は仕事に救われたが、定年を過ぎてリタイアした人が伴侶を亡くすこともあるだろう。そうした場合も、「社会との繋がりが大切だ」と田原氏は語る。
「僕はたまたま今でも現役でやれている。これは非常にラッキーだと思っている。でも、多くのサラリーマンが65歳でリタイアすると孤立する。麻雀もゴルフも飲み会も全部会社の関係でやってきた人が仕事を失うと途端に落ち込む。これからは、孤立しないために男は社会との繋がりを作っておくことが重要ですね。すると、女房に先立たれたとしても少しは気が紛れるはずです。
僕は女房の最後の1年間、介護の世話ができたこともよかった。それによって、介護スタッフとの付き合いというかたちで社会との繋がりもできました」
妻に先立たれる日のことを、男も考える必要がある時代なのかもしれない。
※週刊ポスト2021年12月24日号