国内

放火事件で注目されるガソリン販売 「販売禁止はできない」理由

大阪ビル放火/供えられた花束 撮影日	2021年12月24日 大阪クリニック放火事件から1週間、現場のビル前に供えられた花束(時事通信フォト)

大阪ビル放火/供えられた花束 撮影日 2021年12月24日 大阪クリニック放火事件から1週間、現場のビル前に供えられた花束(時事通信フォト)

 凄惨な事件や事故が発生し社会問題として取り沙汰されると、防ぐための手立てとして、新しく規制が追加されることがある。しかし、規制対象が生活必需品の一部である場合、実際には防犯に役立つのかと疑念を抱かれながら運用されることになる。俳人で著作家の日野百草氏が、放火事件によって注目を集めるガソリン販売の現場で、実態を聞いた。

 * * *
「販売記録はつけてますけど、手間といえば手間ですね」

 関東東部のガソリンスタンド、サービス点検を待つ間のベテランスタッフとの何気ない会話。自然、大阪で25人が死亡したクリニック放火事件に話が及ぶ。犯行にガソリンが使われたからだ。

「警察には協力してますけど、馴染みの客の中には『犯人扱いかよ』って納得しない人もいます」
 
 ここは昔ながらのフルサービスのスタンド、セルフはガソリンの直接給油しか法的に認められていないため(現実はあくまで『建前』だが)本稿では除外する。またガソリンスタンド業界などの専門用語はできる限り平易に置き換えている。

「(直接給油以外の)ガソリン購入で書いてもらうのは名前と住所、使用目的ですね、こちらで書くのは販売日と販売数量、本人確認方法ですね」

 実際の書類を見せてもらう。チェックシートのようなもので氏名、住所から本人確認の方法、使用目的、そして販売数量である。どこの店もだいたい同じような内容だという。

「まあ免許証を見せてもらえば売ります。馴染みなら最初だけで見ません」

 馴染みとは会員(継続顧客)のこと、ここは少し田舎なので古くからの顔見知り客も多い、そもそもガソリンを携行缶で買う人など限られるという。

「やっぱり農家ですね。あとは自動車とかバイクのお店やってる業者はもちろん、何台も持ってるような個人のマニアとか」

 これに雪の積もる地域だと除雪機用が加わる。僻地では携行缶を常備している家もある。

生活で使う人たちもいる。売らないわけにもいかない

「珍しいお客さんだとテキヤ(露店商)の人ですね。さすがに最近は見ませんけど、昔はうちのお客さんにもいましたよ」

関連記事

トピックス

若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「正しい保守のあり方」「政権の右傾化への憂慮」などについて語った前外相。岩屋毅氏
「高市首相は中国の誤解を解くために説明すべき」「右傾化すれば政権を問わずアラートを出す」前外相・岩屋毅氏がピシャリ《“存立危機事態”発言を中学生記者が直撃》
NEWSポストセブン
3児の母となった加藤あい(43)
3児の母となった加藤あいが語る「母親として強くなってきた」 楽観的に子育てを楽しむ姿勢と「好奇心を大切にしてほしい」の思い
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
神戸ストーカー刺殺“金髪メッシュ男” 谷本将志被告が起訴、「娘がいない日常に慣れることはありません」被害者の両親が明かした“癒えぬ悲しみ”
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン