ドリフと言えば、この場面とこの背景を思い浮かべるかたも多いだろう。ドラマのために当時のセットを再現。この収録を高木ブーは現場で見ていたという(写真/フジテレビ提供)

ドリフと言えば、この場面とこの背景を思い浮かべるかたも多いだろう。ドラマのために当時のセットを再現。この収録を高木ブーは現場で見ていたという(写真/フジテレビ提供)

仲:それを聞いて、笑っちゃったよ。

高:見せしめと本気は、半々くらいだったかな。長さんは現場も本番も仕切らないといけないから大変だったと思うけど、とにかくぼくはよく怒られた。加藤(茶)や志村(けん)は出番も多かったけど、志村なんかが怒られる姿はあまり記憶にないな。

仲:自分の役どころについては各々で考えていたし、いかりやさんもそこはぼくらに委ねて舞台について何か小言を言うようなことはなかったね。

高:うん、そこは個々を尊重してくれていた。「ドリフターズって仲が悪いんですか」とよく聞かれたりするんだけど、そんなこと全然ない。

松:毎週の生放送に地方での営業と年中一緒に過ごされる仲間として、もはや兄弟のような、親戚のような。

高:まったくそうよ。年長組に長さんとぼくがいて、ぼくらの10年くらい下に仲本と加トちゃん、その10年くらい下に志村がいる。ドリフはこのバランスが絶妙だったの。

加:約20年の年の差があったんですね。

高:志村も力があがってきて、そうなれば人間、言いたいこともあるじゃない。このやろうと憤ることも内心あったんじゃないかと思うよ。だけど、世代が離れていたことでグループのバランスが取れていた。ドリフの中に序列というものがしっかりあったから。

仲:ぼくらは序列をはみ出したギャグは絶対にやらなかったしね。もしおもしろいなと思うアイディアが何か浮かんでも、序列が崩れるならやらなかった。だからドリフのコントはずっと続いたんだと思う。たとえば、警官などでも序列があるでしょう? そこからおまわりさんのコントができるし、5人の序列をいろんな設定に当てはめていける。

高:でも5人の人間が集まって序列があればいいってもんじゃない。やっぱり、長さんみたいな人がリーダーにいないとだめ。あんな人はいないんだけどね……。長さんには怒られてばっかりだったけど、『ドリフ大爆笑』の雷様は長さんがぼくを前面に出すために考えてくれたキャラクター。視聴者の反応もよくてぼくもやっていて楽しくて、年賀状に長さん、仲本、ぼくの3人の雷様の絵を描いたこともあったな(笑い)。

仲:雷様のコントは9月に放送された『ドリフに大挑戦スペシャル』(フジテレビ系)でもカミナリの2人と新作を披露したよね。

高:雷様の新作コントは23年ぶりだったんだってね! 長さんが作ってくれた雷様を今度はぼくが引っ張って、これからも大事に育てていきたいな。

加・松:ひとつ素朴な疑問なんですが……。雷様のコスチュームは高木さんだけ、いつもパンツがハイウエストじゃありませんか?

高:ふふ。あれはぼくだから、なの(にやり)。

【プロフィール】
高木ブー(たかぎ・ぶー)/現在のザ・ドリフターズのメンバーの中では最年長。ウクレレ奏者としても知られており、先日、「日本武道館に出演した最高齢アーティスト」の記録を更新した。
仲本工事(なかもと・こうじ)/ドリフターズメンバー随一の運動神経を持ち、体操コントではバク転が名物に。現在、東京・目黒で居酒屋『仲本家』を経営中。

加治将樹(かじ・まさき)/大きな身体とコミカルな芝居を武器にドラマ、舞台で活躍中。日本テレビ系ドラマ『二月の勝者−絶対合格の教室−』に出演中。1月28日からは舞台『マーキュリーファー Mercury Fur』の出演を控える。

松本岳(まつもと・がく)/月曜ミステリーシアター『名もなき毒』でデビュー。スーパー戦隊シリーズ「手裏剣戦隊ニンニンジャー」ではアオニンジャー役を好演。以降も話題作で活躍中。

◆志村けんさんの半生を描いたフジテレビ系ドラマ『志村けんとドリフの大爆笑物語』が12月27日に放送される。志村けん役を山田裕貴が演じるほか、いかりや長介役を遠藤憲一、加藤茶役を勝地涼、高木ブー役を加治将樹、仲本工事役を松本岳が演じる。ザ・ドリフターズのメンバーに取材を重ねて完成したファン待望の一作となっている。

取材・文/渡部美也 撮影/中村功 写真提供/フジテレビ

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