芸能

志の輔落語が映画やドラマに 時代劇づいている高田文夫氏の年の瀬

落語や歌舞伎で時代劇づいて慌ただしい

落語や歌舞伎で時代劇づいて慌ただしい

 放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、落語や歌舞伎で時代劇づいている慌ただしい年末についてつづる。

 * * *
 令和3年も残すところあと僅か。落語界も古典の至宝・小三治、新作の巨星・円丈と大事な人を失った。そんな処へ週刊ポスト38号16ページにもわたって私のみごとな構成で「落語特集」。圧倒的反響、楽屋でも超話題。三遊亭白鳥なぞ「オレの師匠円丈が亡くなっているというのになんでオレは載ってないんだ」だと、アハハ。

 その点、立川志の輔は偉い。すぐに私のところへFAXが届いて「感激しました。ありがとうございます。これで1月にひと月間公演するPARCO劇場、なんとか乗り切れそうです」クウ~~ッ偉いネ。昔から「お礼と出前は早い方がいい」って言うけどまったくだ。志の輔の1月は以前、演って大好評だった自作の創作落語『伊能忠敬物語・大河への道』。これが知らないことだらけだから大傑作となっている。なんとこの噺に感銘を受けたあの中井貴一が映画化。5月に公開されるらしいが中井と松山ケンイチ、北川景子らが出演。教科書では習わなかったアッと驚く忠敬の物語。日本地図を広げて楽しみに待て。

 志の輔ファンならよく知っている名作『中村仲蔵』。歌舞伎役者からいいエピソードを持ってきて代々の噺家の手によって一席の落語に仕上げた名作古典落語。これがまた先祖返りをして12月4日と11日、NHKのBSで『忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段』として放送。大部屋と言われる一番下っ端の役者がいじめに耐えながら「定九郎」役の工夫で大出世をするご存じの物語。主役の中村勘九郎の浪人・定九郎のいいこと!! 思わずテレビに向かい「なかむらや!」と叫んでしまった。父・勘三郎も空の上の大向こうで喜んでいることだろう。いや、「まだまだ」と言ってるかな。

 14日の討入りを前に春日太一著『忠臣蔵入門』(角川新書)。最近映画でもテレビでも大好きな“忠臣蔵”を見ないなと思ったらこの本を読んでよく分かった。四十七士にあの江戸城のセット、祇園一力茶屋、吉良邸、なにしろ金がかかりすぎるんだな。それにしても春日太一のこの量産ぶりはなんだ。「月刊春日」のように毎月本が届く。ま、ありがたいけどネ。

 時代劇といえば忠臣蔵から末期の清水次郎長まで“江戸時代”ばかり愛してしまう貴方、そして私になんと鎌倉が一番と歴史好きな我らが松村邦洋が『鎌倉殿の13人を語る』(プレジデント社)を出した。NHKラジオで「DJ日本史」なる番組も持つ松村。彼のうんちくに耳を傾けてみて下さい。あきれるから。

イラスト/佐野文二郎

※週刊ポスト2022年1月1・7日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン