涙なんか見せない妻がそこまで取り乱したのはよっぽどのことだった
山田:その坂上サンは、昨年7月30日、真サンが新型コロナ陽性だと判明し、8月5日に入院、ICUに運ばれ、エクモ(体外式膜型人工肺)の使用一歩手前だったときには、本当に心配されていました。『バイキング~』の本番前、真サンの奥様・俊恵サン(57才)が号泣しながら坂上サンに電話をしてきて、「そのときは覚悟した」と……。
野々村:そういう話を後から聞きました。結婚前、ぼくの妻はアイドルだったので、しーちゃんをダミーにして3人でよく遊びに行ったことから、妻も長いつきあい。頼り切っていたんだと思います。日頃は本当に気丈だし、涙なんか見せない妻が、そこまで取り乱したとは、よっぽどのことだったんだろうなと。子供も20才近くになってきたとはいえ、まだまだお金はかかりますし、大黒柱を失ってしまったらどうしようかと不安でいっぱいだったんでしょうね。
山田:真サンの陽性が判明したのは、私が共演させていただいている『アップ!』(メ〜テレ)に出演された日の夜のことでしたよね。その後、入院されて……容体を聞き、私も本当に心配していました。退院までの約3週間、いちばん不安だったのは、いつ、どんなときでしたか?
野々村:自宅療養の頃ですね。家まで来てくれた救急車が2回、帰ってしまったときは絶望的になりました。そのときに定められていたルールで、パルスオキシメーターの数値が90を切らないと入院できなかったんですが、ぼく自身は本当に苦しかったし、救急隊員のかたがたも、そんなぼくを目の当たりにして、これはマズイという顔をされているんですよ。でも、ルールはルール。90を切ったから保健所に電話して何度も症状を説明したのに、救急車が到着すると、どういうワケだか数値が持ち直してしまうんです。ぼくは泣きました。こんなに苦しいのではもうダメだって本人がいちばんわかっているし、もう助からないと。
不謹慎な話ですけれど、子供の頃、学校をズル休みしたいとき、体温計をこすったり、熱いお茶の中に入れたりして温度を上げたじゃないですか。あんなふうに、なんとか、パルスオキシメーターの数値を下げる方法はないものかと思ったほどでしたね。
あの頃は酸素ボンベの数も足りなくて、不安しかないなかで、部屋でただ1人。壁の向こうにいる妻は陰性だったものの、濃厚接触者ですからなかなか自由に動けず……。
主治医の先生が話を聞いてくださって一瞬だけ救われた気になったんですが、「申し訳ない。ぼくも入院の許可を出せないんです」と告げられたときも無念で涙が止まりませんでした。
山田:いまはもう落ち着いていらっしゃるんですか? 後遺症もなく?
野々村:実は昨年の12月中旬まで朝晩2回ずつ30分かけて吸入薬を使っていたんですが、それもやっと終わって、体重も元に戻って……、いや戻りすぎて怒られているくらい(笑い)。
本当によくしてくださった医療関係者の皆さん、たくさんの仕事関係者のかたがた、そして家族には改めて感謝の気持ちでいっぱいです。ある看護師さんに言われたんです。「病院よりも、家へ戻って家族と一緒にいる方が治りは早いんですよ」と。
コロナ禍で、家族の存在を見直しているご夫婦が芸能界でも少なくありませんが、ウチの場合はぼくのコロナを経験して絆は強くなりましたね。
山田:恐妻家の真サンが、そうではなくなったということですか?
野々村:いや、また元に戻りましたね。今朝も「グダグダしてないで早くしなさいよ!」と怒られました(苦笑)。でも、それもぼくが健康だという証拠。40周年の目標も「健康第一」です!
【プロフィール】
野々村真/1964年6月24日生まれ。『バイキングMORE』(フジテレビ系)、『世界・ふしぎ発見』(TBS系 )、『アップ!』(メ~テレ)などに出演中。また、YouTubeチャンネル『野々村真 オッサンず苦LOVE』で動画を投稿している。
構成/山田美保子
『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ!』(メ〜テレ)、『アップ!』(同)、『バイキングMORE』(フジテレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)に出演中。CM各賞の審査員も務める。
撮影/田中智久
※女性セブン2022年1月20・27日号