だが、岸田政権の外交を担う林氏への攻勢は今後さらに強まる。政治アナリストの伊藤惇夫氏が指摘する。
「日中友好議連会長を務めた林外相は中国とのパイプが太い。それが彼の強みでもあり、米中対立が強まるなかではウィークポイントでもある。折しも、今年は日中国交正常化50周年の年で様々な関連行事があり、中国側は延期されている習近平・国家主席の国賓来日をアプローチしてくる可能性もある。
そういう状況で安倍元総理が対中強硬路線を唱え、林外相にプレッシャーを掛けてくる可能性は十分ある。対応を間違えれば自民党のタカ派から猛バッシングを浴び、安倍氏に阿ると日中関係が抜き差しならなくなる。外交の舵取りが難しく、しくじると総理の座が遠のくでしょう」
その安倍氏は台湾で開かれたフォーラムにオンライン参加し、「台湾有事は日本有事」と発言して中国を“挑発”し、台湾訪問計画まで持ち上がっている。
日本の元首相の訪台となると中国が猛反発するのは必至で、林氏がまともに火の粉を被ることになる。
地元だけでなく、外交舞台でも始まる林家と安倍家の“政治的怨念”の対決が、総理選びと日本の行く末に大きく影響することになりそうだ。
※週刊ポスト2022年1月28日号