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村田兆治、離島甲子園から初のプロ入り右腕に「次は新人王を獲れ!」

「離島甲子園」の開催に尽力してきた村田兆治氏(写真は2017年)

離島甲子園に村田兆治氏は尽力してきたが、ついにプロ入り投手が出現(写真は2017年)

「育成とはいえ指名は嬉しいよね。本気でやればいいことがある。努力は報われるんだなと」。そう目を細めるのは、“マサカリ投法”で知られるプロ野球界のレジェンド、村田兆治氏(72)だ。

 昨秋のドラフトで、新潟県・佐渡島出身の菊地大稀(桐蔭横浜大学)が巨人から育成6位で指名された。最速150キロ右腕は、佐渡島から、そして村田氏が長年、開催に尽力してきた「離島甲子園」の出場者から初のプロ野球選手となる。

 全国の離島に住む中学球児が一堂に会する大会を開催する村田氏の取り組みには、昨年末に日本財団から「HEROs AWARD 2021」が贈られたが、プレゼンターとして菊地が登場。村田氏と再会を果たした。

 引退後に手弁当で離島での野球教室を開いてきた村田氏は、2008年に離島甲子園を創設し、第1回大会には奥尻島や三宅島などから10チームが参加。すでに開催は12回を数え、参加チームも25に増えた。

 この2年間は新型コロナの影響で中止となったが、そこに嬉しいニュースが飛び込んできたわけだ。菊地は2014年の離島甲子園に出場。県立佐渡高では甲子園出場が叶わず、プロから指名は得られなかったが、進学した桐蔭横浜大学でエースとなり育成契約を勝ち取った。

 再会した村田氏を前に菊地は、「まずは支配下登録に」と意気込みを語った。村田氏が言う。

「菊地君には“新人王を獲ります”くらいのコメントをしてもらいたかったね(笑)。離島の球児たちは菊地君を目指してやるんだから、道を切り開いてくれないと。プロは競争社会だから、そこを勝ち抜けばいい。育成もドラフト外も関係ない。

 離島の子供たちは“ハンデがある”とか“本土には勝てない”とすぐに言い訳をしがち。離島甲子園にはハンデがある球児同士が戦って言い訳ができない環境をつくって頑張ってもらう狙いもある。大会の存在同様、プロ野球選手の誕生も離島の球児に励みになると思う。菊地君には150キロのストレートでぜひ大活躍してほしい」

 同学年には昨季MVPのヤクルト・村上宗隆らすでにスター選手もいる。離島から少し遠回りしてやってきた新人が、どこまで追いつけるか。

※週刊ポスト2022年1月28日号

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