国際情報

韓国大統領選“薄毛は大票田” 各候補「薄毛対策公約」超えるインパクト出せず

脱毛治療の健康保険適用を公約に掲げた李在明氏(写真/共同通信社)

脱毛治療の健康保険適用を公約に掲げた李在明氏(写真/共同通信社)

 3月9日の韓国大統領選が目前に迫る。経済格差の是正や対北朝鮮をはじめとする外交政策など、同国の課題は多いはずだが、韓国世論を沸かせているのが「薄毛対策論争」だというのだ。一体どういうことなのか。

 1月4日、与党「共に民主党」の候補、李在明氏は自身のYouTubeチャンネルで「李在明は植えるぞ!」と宣言。脱毛治療の健康保険適用を公約に掲げた。

 これに対し、李氏の最大のライバルである野党「国民の力」候補、尹錫悦氏は「亡国のポピュリズム(大衆迎合)だ」と批判。さらに、第二野党「国民の党」の候補である安哲秀氏は、脱毛治療薬の価格引き下げを公約に掲げるなど、「薄毛」を巡るアピール合戦が繰り広げられている。なぜ、韓国で薄毛対策論争が白熱しているのか。

「現代の韓国では、“薄毛は大票田”と言えます」

 そう指摘するのは、コリア・レポート編集長の辺真一氏だ。

「この公約は実に巧妙です。今回の大統領選は、“前代未聞の大接戦”だと言われていて、シーソーゲームのような支持率は尹氏が李氏に対してわずか2ポイント程リードするのみ。韓国の有権者が約3300万人で、李氏はその2%、約66万票を積み増せば勝利に届くわけです。現在、韓国の全人口の5分の1にあたる約1000万人が薄毛に悩んでいるとされる。ということは、“薄毛が大票田”なのです(苦笑)」

 激しい競り合いのなかで、「李氏は“美味しい票田”を見つけられたのでは」と辺氏は続ける。

「一見すると奇想天外な公約ですが、李氏が選挙スローガンに掲げている“小さくても確実な幸せ”にそぐう。あとは財源の問題ですが、韓国の健康保険の年間予算は約7兆円。対して、昨年1年間の薄毛治療の規模は約100億円でした。その7割を保険でカバーするということなので、予算の見通しは立っているのでしょう。李氏は自らの策が奏功したと思っているでしょうし、他の候補がこれを超えるインパクトを出せていない」

関連キーワード

関連記事

トピックス

(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
列車の冷房送風口下は取り合い(写真提供/イメージマート)
《クーラーの温度設定で意見が真っ二つ》電車内で「寒暖差で体調崩すので弱冷房車」派がいる一方で、”送風口下の取り合い”を続ける汗かき男性は「なぜ”強冷房車”がないのか」と求める
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
「舌出し失神KO勝ち」から42年後の真実(撮影=木村盛綱/AFLO)
【追悼ハルク・ホーガン】無名のミュージシャンが「プロレスラーになりたい」と長州力を訪問 最大の転機となったアントニオ猪木との出会い
週刊ポスト
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン
中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト