52歳の新人調教師として再スタートする蛯名正義氏
新たに騎乗依頼をいただいた時、「それまで乗っていたジョッキーに話を聞く」という発言をします。これはおもにその馬の「癖」を教えてもらうということ。乗り味とか個性はジョッキーによって感じ方が違うし、乗った人がどう判断するかです。僕が訊かれた時でも、あまり多くのことは言いませんでした。自分の感覚を押し付けるというのもよくない。
ジョッキーを替えるというのは、調教師としての重要なミッションだと思いますが、そのことであまりプレッシャーをかけたくはないですね。いかに、そのジョッキーが気持ちよく、やる気になってもらうようにするかが大事なんじゃないかと思います。
中野先生はジョッキーとしてダービーも勝っていましたが、乗り方であれこれ注文をするようなことはなかった。だからこそ、僕は責任を感じて、やってやろうという気になったのです。
【プロフィール】
蛯名正義(えびな・まさよし)/1987年の騎手デビューから34年間でJRA重賞はGI26勝を含む129勝、通算2541勝。エルコンドルパサーとナカヤマフェスタでフランス凱旋門賞2着など海外でも活躍、2010年にはアパパネで牝馬三冠も達成した。今年2月で騎手を引退、来年3月に52歳の新人調教師として再スタートする予定。
※週刊ポスト2022年2月4日号