スポーツ

蛯名正義氏 GI勝利した短距離馬エアジハード、トロットスターを語る

トロットスターには4歳(旧5歳)12月のCBC賞から騎乗し、3連勝で高松宮記念を勝った(写真/JRA)

トロットスターには4歳(旧5歳)12月のCBC賞から騎乗し、3連勝で高松宮記念を勝った(写真/JRA)

 1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏が、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートする。蛯名氏による週刊ポスト連載『エビジョー厩舎』から、エアジハード、トロットスターなど騎乗してGIを勝った短距離馬についてお届けする。

 * * *
 今回は僕が騎乗してGIを勝った短距離馬についてお話しします。

 エアジハードの騎乗依頼を初めて受けたのは4歳の春。伊藤正徳先生から、安田記念に出たいのだけど、その時点でちょっと賞金が足りないので前哨戦と言われる京王杯スプリングカップで何とか加算できないかということでした。それまで騎乗していたジョッキーに癖を聞いたり、VTRを見たりしていろいろ考えた末に先行策を取りました。最後はグラスワンダーに差されましたが、2着で賞金も加算できたし、能力も確認できた。

 だから安田記念ではもうちょっと勝負できる組み立てを考えました。外からグラスワンダーを見るような位置につけ、直線でも追いかける形になって馬体を合わせに行って叩き合いを制することができた。こちらが考えていたことに彼が応えてくれた感じです。

 秋は少し調整が遅れて天皇賞(秋)が3着。でも負けて強しという競馬だったので、次のマイルチャンピオンシップは自信満々。3コーナーを回った時に勝ったと思いました。

 トロットスターは3歳時に勝ったり負けたりを繰り返していて、ジョッキーの乗り替わりも多かったようです。でも、4歳の秋ごろからよくなってきて、そんなときにたまたま僕に騎乗依頼が来た。暮れのCBC賞では、僕が以前乗ってその強さを知っていたブラックホークやマイネルラヴを相手に勝ったので、中野栄治先生に「(翌年3月末の)高松宮記念に行きましょう! 勝ちますよ」って言い切りました(笑)。

 先生もそれだけ言うなら、じゃあ狙っていこうということで、本番から逆算してまずシルクロードステークスを使って、高松宮記念を勝ちました。秋のスプリンターズステークスもちょっと重かった(プラス24キロ)のに勝つことができた。

 この2頭はいずれも、途中から乗せてもらうようになりました。短距離馬は持って生まれたスピードをどう生かすかが大事。僕が乗ったから勝ったということではなく、どんどんよくなっていくいい時期に乗せてもらったということだったのです。2頭ともJRA賞最優秀短距離馬に選出されました。

関連キーワード

関連記事

トピックス

11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン