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少量の血液で簡単に調べられる「認知症リスク検査法」 4月から運用開始

認知症治療の研究は進む(イラスト/いかわ やすとし)

認知症治療の研究は進む(イラスト/いかわ やすとし)

 認知症の原因のひとつ、変性たんぱく質を分解し、細胞内装置を活性化させる化合物が開発された。これをアルツハイマー型認知症モデルマウスに投与すると認知機能に関わるアセチルコリンの遊離を促し、脳内の変性たんぱく質の分解も促進されたのだ。この化合物はレビー小体型認知症やパーキンソン病などにも有効とみられ、今後の臨床開発に注目が集まっている。

 2021年、日本の製薬会社との共同開発を経て認知症治療薬がアメリカFDAで迅速承認された。それはアルツハイマー型認知症の原因とされる脳内に溜まった変性たんぱく質のアミロイドβを減少させる薬だ。脳内の変性たんぱく質が原因の疾病はシヌクレイン(これも変性たんぱく質)によるレビー小体型認知症やパーキンソン病など数多い。

 これらの変性たんぱく質の分解に有効とみられている物質、低分子化合物SAK3が2013年に開発された。

 そのSAK3を開発した、東北大学大学院薬学研究科先進脳創薬講座名誉教授で、BRIファーマ(宮城県)代表取締役の福永浩司博士に聞く。

「認知機能に関する研究の中で、1982年にカルモデュリン依存性キナーゼ(CaMK2)という酵素を発見したのです。しかし、発見当時は何の作用をするのかわからず、ようやく1992年にノーベル賞の利根川進先生が、酵素の遺伝子を欠損させたマウスが新しいことを覚えられない欠点を発見。CaMK2が記憶や認知に関係していることを明らかにしました。また海外の共同研究者であるエルゲルスマ先生はヒトの認知機能にも、この酵素が関わっていると報告しています」

 それらの研究結果を踏まえ、福永博士は記憶を高める薬の開発に着手、低分子化合物SAK3の開発に成功した。これを投与すると脳内のCaMK2が活性化する。

 その成果を受け、2017年にアルツハイマー型認知症のモデルマウスに投与したところ、記憶形成に関与する神経伝達物質アセチルコリンの遊離を高め、認知機能が改善したと発表。さらにSAK3は変性たんぱく質を分解する装置のプロテアソームを活性化し、結果的に神経細胞内の変性たんぱく質の分解を促進する仕組みも解明した。他にも神経変性疾患マウスにSAK3を投与すると記憶や認知行動の改善以外にも、脳内に蓄積した変性たんぱく質を分解することがわかったのだ。

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