国内

岡田晴恵氏、医療体制に不安を示す「国民皆保険制度が崩れた」

インフルエンザ流行への懸念も(岡田晴恵・白鴎大教授)

インフルエンザ流行への懸念も(岡田晴恵・白鴎大教授)

 新型コロナ「第6波」が襲来するなか、“軽症で済む”との楽観論も広がっている。はたして本当にそうなのか。さらにインフルエンザの流行への不安もある。「コロナの女王」岡田晴恵・白鴎大教授が緊急解説する。【全4回の第3回】

 オミクロン株による第6波に続いて、インフルエンザとの同時流行「ツインデミック」も警戒される。もちろん医療体制の問題も出てくる。新型コロナの感染者が激増している今、これまで当たり前に受けていた医療機関での処置が受けられない可能性が高いのだ。岡田氏が語る。

「インフルエンザにはタミフルなどの抗インフルエンザ薬がありますが、発症後48時間以内に投与しなければなりません。ただ、オミクロン株拡大で検査もままならないなか、はたしてすぐに受診、検査、診断がされるのかは疑問です。インフルエンザが疑われる熱が出た時は、これまでだったら病院に行ってすぐに診断されて薬を処方されるということができたのですが、今は難しい状況です。

 日本ではワクチン、検査、薬の3つが揃って、インフルエンザでの致死率は約10分の1に下がりました。インフルエンザで高齢者を中心に年間1万人以上が亡くなっていたのが、3000人くらいに抑えることができるようになった。こうしたコロナ以外の一般医療に支障が出ているのではないかと心配です。

 また、新型コロナとインフルエンザに同時感染する『フルロナ』は重症化リスクが高く、英国の研究結果では同時感染者の死亡率は無感染者の6倍、新型コロナ感染者の2.3倍となっています。今後、インフルエンザが出ないことを願うばかりです」

 政府分科会の尾身茂会長ら専門家の有志は21日、政府に対して「若年層で重症化リスクの低い人については、必ずしも医療機関を受診せず、自宅での療養を可能とすることもあり得る」とするオミクロン株対策についての提言を提出した。

「病院には極力行かないようにとなると、新型コロナなのかインフルエンザなのか風邪なのかもわからないまま自宅療養する可能性もあります。

 オミクロン株は喉、鼻など上気道で増えやすいため、風邪の症状に近いという側面もあります。

 ただ、若い人でも高熱が出ることがあり、鼻や喉の痛み、熱や倦怠感がある。そうした症状があれば本来なら医療機関にかかりたいものですよね。それが今は50歳未満で基礎疾患がないなどリスクが高くない人は病院に行く必要はない、自宅療養でと言われてしまっているのです。国民皆保険制度が崩れたといっても過言ではない。この2月のコロナ流行をどう乗り切るのか、私は不安です」(岡田氏)

関連キーワード

関連記事

トピックス

生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
麻辣湯を中心とした中国発の飲食チェーン『楊國福』で撮影された動画が物議を醸している(HP/Instagramより)
〈まさかスープに入れてないよね、、、〉人気の麻辣湯店『楊國福』で「厨房の床で牛骨叩き割り」動画が拡散、店舗オーナーが語った実情「当日、料理長がいなくて」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
50歳で「アンパンマン」を描き始めたやなせたかし氏(時事通信フォト)
《巨大なアンパンマン経済圏》累計市場規模は約6.6兆円…! スパイダーマンやバットマンより稼ぎ出す背景に「ミュージアム」の存在
NEWSポストセブン
保護者を裏切った森山勇二容疑者
盗撮逮捕教師“リーダー格”森山勇二容疑者在籍の小学校は名古屋市内で有数の「性教育推進校」だった 外部の団体に委託して『思春期セミナー』を開催
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
新宿・歌舞伎町で若者が集う「トー横」
虐待死の事例に「自死」追加で見えてきた“こどもの苛烈な環境” トー横の少女が経験した「父親からの虐待」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
NEWSポストセブン