現時点で、日本でのインフルエンザの流行は報告されていないが、日本も警戒すべきだという。岡田氏が続ける。
「欧州で増えているという現状があるため、欧州で起こっていることが日本で起こらないとは限らない。ツインデミックが来るかどうかはわかりませんが、日本もインフルエンザのことを忘れてはいけない。これは“煽り”ではなく、現実として受け止めて、行政は発熱外来や臨時医療施設の準備もしておかなければなりません。
インフルエンザの流行状況のサーベイランス事業を開始してから、インフルエンザが2年間も流行しなかったことも、エビデンスがないなかでワクチン株を選定しなければならなかったことも世界的に初めての事態です。
昨年夏に、お子さんに多いRSウイルス感染症が流行しましたが、本来は冬の病気です。さらにヨーロッパや北半球で流行したのと同時に南半球でも流行った。これまで季節ごとに時期がずれて回っていくものだったのに世界レベルで同時に流行するというこれまでにないことが起こっている。インフルエンザでも流行時期がずれたり、両半球で同時に流行したりということがあり得ると思って備えるべきでしょう」
(第4回につづく)
【プロフィール】
岡田晴恵(おかだ・はるえ)/共立薬科大学大学院修了後、順天堂大学で医学博士を取得。国立感染症研究所、ドイツ・マールブルク大学医学部ウイルス学研究所、経団連21世紀政策研究所などを経て、白鴎大学教授。専門は感染免疫学、公衆衛生学。テレビやラジオへの出演、専門書から児童書まで幅広い執筆などを通して感染症対策に関する情報を発信している。
※週刊ポスト2022年2月11日号