静岡県高野連の理事長として、聖隷の選出を疑わずに選考委員会に参加した。ところが、議論は思わぬ方向に向かう。東海大会準優勝の聖隷ではなく、ベスト4に終わった大垣日大が個人能力や投打の力で上回ると選考委員会のなかで判断された。渡辺理事長はそうした反対の意見に抗議する姿勢は示せず、結果、大垣日大が代表校に決まったということなのか。
静岡県高野連の理事長であり、選考委員のひとりでもあった渡辺理事長は、難しい立場にあり、軽々に発言できない事情がありながらも、真摯に取材に応じた。東海大会で上位の成績を残しながら、聖隷ではなく、どうして大垣日大が強く推されたのか──1月28日に行われた選考委員会の内幕はいまだ闇の中にあり、鬼嶋委員長をはじめ、他の選考委員は、沈黙を貫いている。そうした中、「選考委員の件は関係ない」としつつも、理事長を辞するという渡辺理事長の覚悟こそ、聖隷が落選したことへの抗議行動のようにも感じられた。
渡辺理事長への取材から2日後、日本高野連は静岡県高野連から出されていた聖隷クリストファーに対する何らかの措置、丁寧な説明などを求めた要望に対して、「主催社としては選考委員会総会時と2月4日付の毎日新聞紙面での説明以上のものは公表できないと総合的に判断し、当該校にもこれ以上の説明を差し控えたい」と回答した。
静岡県高野連をはじめ聖隷クリストファーをとりまく人々の声は日本高野連には届かなかった。
(了。前編から読む)