スポーツ

センバツ選考委員 聖隷落選の結論の瞬間「大変なことになると思った」

聖隷クリストファーのグラウンド。まさかの落選の知らせを受けた選手たちだが、ノックなどの練習に励んでいる

聖隷クリストファーのグラウンド。まさかの落選の知らせを受けた選手たちだが、ノックなどの練習に励んでいる

 春のセンバツ甲子園の出場校選考にあたり、昨秋の東海大会で準優勝となった聖隷クリストファー(静岡)が落選し、ベスト4で敗退した大垣日大(岐阜)が選ばれた問題の波紋が広がり続けている。日本高等学校野球連盟(日本高野連)と毎日新聞社は2月10日になり、選考過程について「詳細な内容は公開になじまない」「当該校にもこれ以上の説明を差し控えたい」との方針を発表。早期の“幕引き”を図ろうとするその姿勢に、異論も溢れている。そうしたなか、東海地区の選考委員を務めた静岡高野連理事長・渡辺才也(としなり)氏がノンフィクションライター・柳川悠二氏の取材に応じた。【前後編の後編、前編から読む

 * * *
 当初、選考結果について電話インタビューに「責任を痛感している」と語っていた渡辺才也理事長だが、私は2月8日に渡辺理事長が勤務する富岳館高校にも足を運び、改めてこの騒動を選考委員のひとりとしてどう受け止めているのか、質問をぶつけた。

「先日は、『静岡2校が選ばれると思っていた』とお伝えしましたよね。言い方を少し変えたいと思います。やはり(2枠目は)準優勝の、決勝に進んだチームが選ばれることを私は信じていました」

 東海地区の選考委員会(今年は計8名)は、慣例として東海4県のいずれかの県高野連の理事長が選考委員に加わって実施されてきた。今年から静岡県高野連にその役割が回って来て、渡辺理事長が参加した。

「私に選考委員の経験があるならば、昨年と比べてどうだったとかいうお話もできると思うんですが、私は1年目で、比較しようがないんです。ただ、委員会の中で、いろいろな意見が出ていたのは事実です。今年の選考結果がイレギュラーだったかどうかは分かりません。選考委員が東海大会を見て、それぞれが下した判断をみんなで議論した。聖隷は準優勝したのに選ばれなかった。『粘り』という素晴らしさがあったとはいえ、その『粘り』が最終的には評価されなかった。それが残念だという思い、それに尽きます」

 選考委員長を務めた鬼嶋一司氏は、東海大会の1、2回戦が行われた10月31日に、母校であり監督を務めた時期もある慶応大と早稲田大の早慶戦の解説をテレビ中継で行っていた。選考委員長が地区大会を視察していない試合があることが問題になることはなかったのか。

「選考委員会はおひとりばかりの意見ではないし、他の方(選考委員)も試合をご覧にあっているので……。ただ、行かなかった日があるのは間違いないみたいです」

 鬼嶋委員長は総会で「賛否あった」と表現した。実際、大垣日大と聖隷を推す声の割合はどれくらいだったのか。

「そうした具体的な中身は、やはりお伝えできません。選考委員として背任行為にあたることかもしれませんので。とにかく両方を推す声があった。両方に対して賛否があった。意見が割れていたのは間違いありません」

 選考委員は鬼嶋委員長と渡辺理事長の他に6人いる。NHKの解説者や大学野球の名伯楽などが揃い、また都道府県高野連の会長経験者もいる。静岡県高野連の理事長として、聖隷の出場を強く訴えることはしなかったのだろうか。

「それなりの方がいらっしゃいますよね。しかも、選考委員のご経験が何年もある方ばかり。かたや私は初めて入った人間ですから。なかなか言い切れない(主張できない)ですよね……」

 コロナ禍に行われた今回の選考委員会では、オンラインで参加した委員もいる。一堂に会した委員会なら侃々諤々の議論もできるかもしれないが、オンラインの空気感では、渡辺理事長のような“新参者”はなおのこと積極的には意見しづらいかもしれない。

関連記事

トピックス

本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《スイートルームを指差して…》大谷翔平がホームラン後に見せた“真美子さんポーズ”「妻が見に来てるんだ」周囲に明かす“等身大でいられる関係”
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《「策士」との評価も》“ラブホ通いすぎ”小川晶・前橋市長がXのコメント欄を開放 続投するプラス材料に?本当の狙いとは
NEWSポストセブン
女性初の首相として新任会見に臨んだ高市氏(2025年10月写真撮影:小川裕夫)
《維新の消滅確率は90%?》高市早苗内閣発足、保守の受け皿として支持集めた政党は生き残れるのか? 存在意義が問われる維新の会や参政党
NEWSポストセブン
2021年ドラ1右腕・森木大智
《悔しいし、情けないし…》高卒4年目で戦力外通告の元阪神ドラ1右腕 育成降格でかけられた「藤川球児監督からの言葉」とは
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
注目される次のキャリア(写真/共同通信社)
田久保真紀・伊東市長、次なるキャリアはまさかの「国政進出」か…メガソーラー反対の“広告塔”になる可能性
週刊ポスト
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
この笑顔はいつまで続くのか(左から吉村洋文氏、高市早苗・首相、藤田文武氏)
自民・維新連立の時限爆弾となる「橋下徹氏の鶴の一声」 高市首相とは過去に確執、維新党内では「橋下氏の影響下から独立すべき」との意見も
週刊ポスト
新恋人のA氏と腕を組み歩く姿
《そういう男性が集まりやすいのか…》安達祐実と新恋人・NHK敏腕Pの手つなぎアツアツデートに見えた「Tシャツがつなぐ元夫との奇妙な縁」
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン