スポーツ

女子ゴルフ、サラリーマン家庭の「父と娘」物語 金銭負担で“ゴルフ破産”寸前

三ヶ島親子は「金銭問題」にどう対応した?(Getty Images)(Getty Images)(Getty Images)

三ヶ島親子は「金銭問題」にどう対応した?(写真/Getty Images)

 3月3日、女子ゴルフが開幕する。人気選手が次々と誕生しているなか、最近は優勝後に「親子」で喜び合うシーンを目にする機会も増えてきた―─。趣味でゴルフを嗜むごく普通のサラリーマンだった父の指導を受け、国内メジャーVを成し遂げた三ヶ島かな(25)を中心に「父と娘」の物語をお届けする。【全4回の第3回。第1回 第2回を読む】

 * * *
 サラリーマン家庭に生まれた選手として着実にステップアップしていった三ヶ島だが、高いステージに上がるにつれてある問題に直面していく。それが「金銭問題」だ。本格的にプロを目指すようになると、とにかくお金がかかった。三ヶ島の父・直さんはこう話す。

「毎日通っていた練習場は、140球で1000円だったのですが、そこの社長が“お金が大変だろう”と月1万円で打ち放題にしてくれました。毎日700球近く打っていましたから本当にありがたかったです。

 僕は物流会社の『ランテック』に勤務していましたが、できるだけ給料が多くなるよう深夜のシフトも増やしました。そんな僕を見かねて後に進学するゴルフの名門・沖学園の監督さんが中学時代から、かなの試合の送り迎えをしてくれていた。高校はゴルフ特待生でしたし、本当に環境に恵まれました。とはいえ、寮は高いので実家通いでしたけどね」

 プロを目指し、高校生でオープン大会に出るとなると、ゴルフ場のメンバーでないと試合登録がしにくいという問題にも突き当たった。

「家内の実家から500万円を借り、10年で預託金を返してくれるコースの会員権を2口買ってメンバーになりました。ゴルフ場へ行くのも軽自動車のタントでしたから、高級車ばかりのなか恥ずかしかったですよ。クラブもなるべく大事に使っていました。ボールとグローブはメーカーからモニター扱いにしていただけたので助かりました。ウェッジだけは溝がすり減るので、ご褒美でよく買い替えていました」(直さん)

 高校を卒業する頃には、明確に「プロになる」ことを意識していたが、母は猛反対だったという。

「家内は“バカじゃないの。OLになりなさい”と言っていましたが、朝練に間に合うように毎朝送り迎えをしてくれていました」(直さん)

 高校を卒業後、2015年にプロテストを受けるも2打足りずに不合格に。しかし、同年のQTで5位に入り、単年登録者としてプロの舞台での戦いが始まった(2018年のプロテストで合格)。

「せっかくプロの試合に出られるようになったのに、そこまでで学資保険さえ使い切ってしまった。思い悩んで勤務先の社長に相談すると、スポンサーになってくれた上に“オフシーズンまで休職してやってこい”と僕を送り出してくれました。キャディをやることになったのも節約のためで、当時は年頃の娘とビジネスホテルのツインですよ。西村優菜ちゃんのところも“ゴルフ破産”寸前だったと聞きますが、状況はよく分かります」

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平の投手復帰が待ち望まれている状況だが…
大谷翔平「二刀流復活でもドジャースV逸」の悲劇を防ぐカギは“7月末トレード” 最悪のシナリオは「中途半端な形で二刀流本格復活」
週刊ポスト
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン
“進次郎劇場”で自民党への逆風は止まったか
《進次郎劇場で支持率反転》自民党内に高まる「衆参ダブル選挙をやれば勝てる」の声 自民党の参院選情勢調査では与党で61議席、過半数を12議席上回る予測
週刊ポスト
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト