●魚のすり身を揚げたもの
焼いて生姜醤油で食べたりおでんに入れたりする茶色いアイツ。東日本では「さつま揚げ」、西日本や北海道では「天ぷら」がメジャーな呼び名です。ほかの地域から西日本に行った人は「なぜこれが天ぷら?」と不思議に感じますが、迂闊に口に出さないほうがいいかも。愛知県や岐阜県など「はんぺん」と呼ぶ地域もあります。鹿児島県では「つけ揚げ」が主流。たしかに、薩摩で「さつま揚げ」と呼ぶ必要はありませんね。
●豚肉が入っている具沢山の味噌汁
漢字にすると、全国的にほぼ「豚汁」です。ところが、読み方は地域によって大違い。大まかに言うと、東日本では「とんじる」が圧倒的で、西日本では「ぶたじる」がメジャーです。「えー、なに『ぶたじる』って」と笑われてケンカになるケースも少なくありません。ちなみに、東北地方の郷土料理である「芋煮」にも豚肉&味噌味のものがありますが、それを見て「これって豚汁だよね」と言うと、高い確率でケンカになります。
そのほか「メンチカツ」と「ミンチカツ」、「がんもどき」と「飛龍頭」など、地域によって呼び名が変わる食べ物はたくさんあります。それらの食べ物をおいしくいただきながら、人それぞれ「正しさは同じではない」ということに思いを馳せ、考え方や常識の違いを穏やかに受け入れる大切さをあらためて噛みしめましょう。
なんてことを書いていたら、回転焼きが食べたくなってきました。「今川焼きと呼んでもいいかい」「回転焼きのフリをしているけど、じつは大判焼きなんだよね」などと話しかけながら食べたら、よりおいしく味わえそうです。人には見せられない光景ですけど。