高市早苗/1961年生まれ。神戸大学経営学部卒業、松下政経塾卒塾
──カドが立たないように気を遣った。
「断腸の思いでしたよ。それまでバリバリの派閥人間で、週1回の例会に行って、みんなで一緒にカレーを食べるだけで楽しくてたまらなかったんですよ。でも、後悔はしていません。無派閥になるといろんな派閥の先輩方が声を掛けてくれるんです。いろんな分野の政策立案のお手伝いをして、党内の人間関係が一気に広がりました。あのフリーで動いた1年間があったおかげで、『もう一度、安倍さんを担ぎましょうよ』と派閥横断的に説得して回って、安倍さんを勝たせることができたと思っています」
──その安倍さんが昨年末、清和研の第10代会長に就任しました。安倍派になったことで、高市さんの派閥復帰も取り沙汰されましたが、今も無派閥のまま。過去に離れたことへの反感が一部メンバーの間にくすぶっているとも報じられています。
「うーん、少し違うかな。私は数年前から『安倍派になったら戻るから』と安倍さんには伝えていましたが、今は党の政調会長なので、人事もなにもかも公平ですよという立場をキープしなきゃいけない。そういう考えを安倍さんにも話したら、『総裁選でいろんな派閥の議員に世話になったのだから、今は一人でいるのがいいよ』と言ってくださった。だから、今も無派閥で一人ぼっち。さびしいのはもう慣れました(笑)」
(第2回につづく)
【プロフィール】
高市早苗(たかいち・さなえ)/1961年生まれ。神戸大学経営学部卒業、松下政経塾卒塾。1993年に初当選後、衆議院では、文部科学委員長、議院運営委員長などを歴任。内閣では、内閣府特命担当大臣(3回任命)、総務大臣(5回任命で史上最長在職期間を記録)などを歴任。現在は、自民党政調会長(3期)。奈良2区選出、当選9回。
【インタビュアー・構成】
常井健一(とこい・けんいち)/1979年茨城県生まれ。朝日新聞出版などを経て、フリーに。数々の独占告白を手掛け、粘り強い政界取材に定評がある。『地方選』(角川書店)、『無敗の男』(文藝春秋)など著書多数。政治家の妻や女性議員たちの“生きづらさ”に迫った最新刊『おもちゃ 河井案里との対話』(同前)が好評発売中。
※週刊ポスト2022年3月18・25日号