国内

高市早苗氏「相手が岸田総理でも2人で飲みには行きません」

高市早苗・政調会長にノンフィクションライターの常井健一氏がインタビュー

女性であるがゆえのバッシングも

 世界では続々と女性リーダーが誕生しているのに、日本ではいまだ実現していない。それほどまでにこの国の「ガラスの天井」は硬いのか──。先の自民党総裁選で岸田総理に肉薄した高市早苗・同党政調会長(61)は、日本初の女性総理候補のひとりと目される。ノンフィクションライターの常井健一氏が斬り込んだ。「週刊ポスト」の新シリーズ《女性総理、誕生!》から飛び出したスピンアウト企画。【全4回の第3回。第1回から読む

 * * *
──政界では女性というだけで男にはありえない期待をされ、男にはありえない叩かれ方をする。女性であるがゆえのバッシングはありますか。

「それはあります。第2次安倍改造内閣の時に女性閣僚が5人も選ばれたのですが、予算委員会で野党やマスコミから責め立てられたのは主に女性閣僚でした。出版社や新聞社の偉い人の中には女性が出世するのを快く思わないような人がいて、狙い撃ちにしているんじゃないかなって疑ってみたくなったほど」

──どうしてそんなことが起こるのでしょう。

「そうねえ。仲良くしている女性記者がおめでたで産休と育休を取るって言ったのに、出産後まもなく永田町を歩いていたの。聞けば、女性の権利に関する記事が多い新聞社なのに、自社の記者が産休を終えるなり、人手が足りないからとにかく働けと。女性の体のこととか、それに見合った働き方とか、一部のマスコミの上層部はわかっていませんね」

──そんな男社会だから、どんなに実力がある女性閣僚であっても「“女”を使った」と非難される。

「そういうのがいちばんたちが悪い。私も初めて選挙に出る準備をはじめた30歳から40代で結婚するまでは、ものすごくやられました。たとえば、企業の社長さんや病院の院長さんが政策に賛同するから応援します、うちでミニ集会を開いてあげます、と。で、集会に行ったら、すぐに『高市早苗の愛人』と、実名で怪文書がまかれる。県会議員さんの家々も挨拶回りするでしょ。そうしたら、1回しか会ったことのない大物県議が『高市の愛人』にされる。で、やっと当選して国会に来たら、こんどは週刊誌に『森喜朗先生の愛人』と書かれる」

──散々ですね。

「ありえない。私の好みは別として(笑)、森先生は見上げるような大先輩ですよ。私は独身だったからいいけど、相手のご家族に不快な思いをさせることを事実無根で書かれて、迷惑かけてしまう。すると、もう、普通に事務所に訪ねて行って、ご挨拶すらしにくくなるでしょ」

──本会議場で隣にいるだけでも、ヘンな噂を仕立て上げられる。

「そうそう。だから私は同僚議員と飲み会にも行かないので、付き合いが悪いって。それが私の弱みであるように報道されてましたけど、もう若い頃に懲りて、誰から誘われても、ほとんど行かないんですよ」

──政界では会食を通じて互いを知ることの重要性を説く人が多いけど、女性の身になればそれが出世の壁になっている。

「誘ってくださるのは、ありがたいんですよ。だけど、男性議員と4人で飲んだとしても、たまたまその中の一人と店を出た時に写真を撮られたら、それだけで迷惑がかかる。後援会の懇親会でも、男女両方がいる時でないと出ません。悩ましいのは、地元の選挙で誰を立てるか、その候補者を私が極秘で説得するといった場面ですよ。絶対に二人っきりで会わない。電話で済ますか、昼間に事務所に来てもらって話す。そうなると、やっぱり人間関係って密になりませんよ。高市はドライとか、友達が少ないとか言われてしまう理由は、そこなんですね……」

──女性にとっては生きづらい世界ですね。

「相手が岸田総理であっても、私一人だけお店に呼ばれたら行きません」

関連キーワード

関連記事

トピックス

憔悴した様子の永野芽郁
《憔悴の近影》永野芽郁、頬がこけ、目元を腫らして…移動時には“厳戒態勢”「事務所車までダッシュ」【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
現行犯逮捕された戸田容疑者と、血痕が残っていた犯行直後の現場(左・時事通信社)
【東大前駅・無差別殺人未遂】「この辺りはみんなエリート。ご近所の親は大学教授、子供は旧帝大…」“教育虐待”訴える戸田佳孝容疑者(43)が育った“インテリ住宅街”
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
【エッセイ連載再開】元フジテレビアナ・渡邊渚さんが綴る近況「目に見えない恐怖と戦う日々」「夢と現実の区別がつかなくなる」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を訪問された愛子さま(2025年5月8日、撮影/JMPA)
《初の万博ご視察》愛子さま、親しみやすさとフォーマルをミックスしたホワイトコーデ
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』が放送中
ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』も大好評 いつまでのその言動に注目が集まる小泉今日子のカッコよさ
女性セブン
事務所独立と妊娠を発表した中川翔子。
【独占・中川翔子】妊娠・独立発表後初インタビュー 今の本音を直撃! そして“整形疑惑”も出た「最近やめた2つのこと」
NEWSポストセブン
名物企画ENT座談会を開催(左から中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏/撮影=山崎力夫)
【江本孟紀氏×中畑清氏×達川光男氏】解説者3人が阿部巨人の課題を指摘「マー君は二軍で当然」「二軍の年俸が10億円」「マルティネスは明らかに練習不足」
週刊ポスト
田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン