国際情報

池上彰氏が予測「2024年にシンゾー・ドナルドのタッグ復活する可能性」

2024年に何が起こる?(写真/EPA=時事)

2024年に何が起こる?(写真/EPA=時事)

 ロシアによるウクライナ侵攻は、世界情勢を激変させるインパクトをもたらした。なかでもアメリカでは、バイデン大統領の失速とトランプ前大統領の復活という現象が起きている。池上彰氏が、話題の新刊『「トランプ信者」潜入一年 私の目の前で民主主義が死んだ』の著者・横田増生氏と語り合った。【全3回の第3回】

安倍・岸田に重なる

横田:日本の政治にも分断が広がっているように感じます。

池上:安倍晋三元首相はトランプの手法を取り入れて国民を敵と味方に分けました。彼は首相の時、秋葉原の都議選応援演説で聴衆から批判され、「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と発言した。さすがトランプと仲がいいだけのことはあります。

 一方で現職の岸田文雄首相は昨秋の衆院選の応援演説であちこちに行っても絶対に野党を批判しなかった。安倍さんの時はアンチが押しかけ騒動になったけど、アンチ岸田はいません。

横田:なるほど。

池上:衆院選の終盤に安倍さんが「もっと野党の批判をしろ」とアドバイスしても、岸田さんは共産党を軽く批判しただけでした。ただトランプの後にバイデンが国をひとつにまとめようと一生懸命やるけど弱々しくて頼りないのと同様に、岸田さんも安倍さんが進めた分断を修復しようとしているけど、どこか弱々しくて頼りない。バイデンと岸田さんが似たもの同士に見えます。

横田:確かに安倍さんは旗幟鮮明でわかりやすい。アンチがいる一方で安倍熱狂支持者みたいな人もたくさんいて、非常にトランプ的です。しかし政治的な対立相手を敵視し、身内でもちょっと批判したら徹底的にやっつけるのでは民主主義が死んでしまう。

池上:実際に自民党の保守層から岸田さんへの批判が多く聞こえます。アメリカはバイデン支持者とトランプ支持者に分断されますが、日本は自民党内で分断が起きています。それで岸田さんは、安倍さんや高市早苗さんからの批判をすごく気にしています。

 だからこそ、岸田さんは今年の夏の参院選が重要です。岸田内閣が圧勝すれば向こう3年は選挙がなく、安倍さんの言うことを聞かず岸田カラーを打ち出せる。だから彼は今年の7月に政治生命を懸けています。

横田:アメリカも11月に中間選挙があります。

池上:岸田さん同様、バイデンも中間選挙に政治生命を懸けるはずです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン