ライフ

現役医師が語る“受けたくない手術”「食道がん手術は執刀医の腕に左右される」

(GettyImages)

医師が赤裸々告白。受けたくない手術とは?(GettyImages)

 2人に1人は一生のうちに一度は罹患するがん。いまや“国民病”ともいえるが、特に初期の場合、治療の第一選択は外科手術になることが多い。しかし欧米諸国において、それは必ずしも大多数の判断ではないようだ。

 たとえば、ステージIの肺がんの場合、治療方法の内訳はアメリカでは手術が60%、放射線治療が25%となっている。同様にイギリスは手術53%、放射線12%、オランダでは手術47%、放射線41%だ。一方で日本は手術95%、放射線5%と大差がつく。

 また、早期の子宮頸がん治療においても、日本では外科手術を選択するケースが多いが、欧米では8割が放射線や抗がん剤を使用した治療が行われているという報告もある。

「私、失敗しないので」「財前教授の総回診です」。華やかで権威ある外科病棟は、これまで何度もドラマや小説の舞台となってきた、間違いなく第一線の医療現場だ。しかしそこで施される治療は、必ずしも正しいとは限らない。メスを握る彼らが、「受けたくない」手術はあるのか? 現役医師4名が本音を明かした。

【座談会に参加してくれた現役医師4名のプロフィール】
A夫(50才):大学病院の整形外科医。骨折から腰痛まで幅広く治療を行う。
B美(42才):総合病院の一般外科医。過去にがんの手術を多く経験している。
C男(57才):総合病院の消化器外科医。内視鏡手術を得意分野とする。
D太郎(46才):眼科クリニック院長。総合病院勤務の後、5年前に開業。

 * * *
A夫:日本のがん治療で手術が選ばれやすいのは、患部を完全に切除できれば根治が可能であることに加え、被爆国であり、放射線に対する潜在的な恐怖心があるという声もあります。

 しかし外科手術はほかの治療と比べて執刀医の腕に左右されるものが多い。特に食道がんはかなり差が出ます。切除した食道と胃をつなぎ合わせるとき、下手なドクターだと縫い合わせた部分がはがれやすく、予後が悪くなる。

 通常であれば3週間で済む入院が3か月に延びた人もいましたし、消化機能が低下して慢性的な下痢に見舞われる人も多い。QOLがかなり落ちます。

C男:患者さんの術後の経過を見ていてぼくが受けたくないと思うのは、直腸がん患者に行う肛門温存手術です。“温存”というと聞こえはいいけれど、肛門の機能は完全に残せるわけではないから、人工肛門をお尻につけているような状態になる。日に20回以上トイレに行かないといけない場合もあるし、下着を汚してしまうことも多い。

 何より無理に肛門を残すことで、がんが取り切れない懸念がある。通常の人工肛門を選択した方が命の危険が減ると思います。

B美:いまの人工肛門は、かなり性能がよくなっていて、無理に温存するよりも快適に過ごせると聞きます。温存ということでいえば、肛門とは反対に、乳房を手術で切除するのは避けたいと思っています。

 たとえば乳がんの手術で切除した後、見た目が変わってしまうのはもちろん、体のバランスが変わるため肩こりや頭痛に悩まされる患者さんも少なくない。最近は放射線のほか、ラジオ波焼灼療法や凍結療法など切らない治療も進歩しているため、可能な限りそれらを選択したいですね。

関連キーワード

関連記事

トピックス

事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《あなたとの旅はエキサイティングだった》戦力外の前田健太投手、元女性アナの年上妻と別居生活 すでに帰国の「惜別SNS英文」の意味深
NEWSポストセブン
1992年にデビューし、アイドルグループ「みるく」のメンバーとして活躍したそめやゆきこさん
《熱湯風呂に9回入湯》元アイドル・そめやゆきこ「初海外の現地でセクシー写真集を撮ると言われて…」両親に勘当され抱え続けた“トラウマ”の過去
NEWSポストセブン
笑顔に隠されたムキムキ女将の知られざる過去とは…
《老舗かまぼこ屋のムキムキ女将》「銭湯ではタオルで身体を隠しちゃう」一心不乱に突き進む“筋肉道”の苦悩と葛藤、1度だけ号泣した過酷減量
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:
【激太りの近況】水原一平氏が収監延期で滞在続ける「家賃2400ドル新居」での“優雅な生活”「テスラに乗り、2匹の愛犬とともに」
NEWSポストセブン
折田楓氏(本人のinstagramより)
「身内にゆるいねアンタら、大変なことになるよ!」 斎藤元彦兵庫県知事と「merchu」折田楓社長の“関係”が県議会委員会で物議《県知事らによる“企業表彰”を受賞》
NEWSポストセブン
“ボディビルダー”というもう一つの顔を持つ
《かまぼこ屋の若女将がエプロン脱いだらムキムキ》体重24キロ増減、“筋肉美”を求めて1年でボディビル大会入賞「きっかけは夫の一声でした」
NEWSポストセブン
チームを引っ張るドミニカ人留学生のエミールとユニオール(筆者撮影、以下同)
春の栃木大会「幸福の科学学園」がベスト8入り 元中日監督・森繁和氏の計らいで来日したドミニカ出身部員は「もともとクリスチャンだが幸福の科学のことも学んでいる」と語る
NEWSポストセブン
横山剣(右)と岩崎宏美の「昭和歌謡イイネ!」対談
【横山剣「昭和歌謡イイネ!」対談】岩崎宏美が語る『スター誕生!』秘話 毎週500人が参加したオーディション、トレードマークの「おかっぱ」を生んだディレクターの“暴言”
週刊ポスト
”乱闘騒ぎ”に巻き込まれたアイドルグループ「≠ME(ノットイコールミー)」(取材者提供)
《現場に現れた“謎のパーカー集団”》『≠ME』イベントの“暴力沙汰”をファンが目撃「計画的で、手慣れた様子」「抽選箱を地面に叩きつけ…」トラブル一部始終
NEWSポストセブン
母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん “トランプショック”による多忙で「眞子さんとの日本帰国」はどうなる? 最愛の母・佳代さんと会うチャンスが…
NEWSポストセブン
春の雅楽演奏会を鑑賞された愛子さま(2025年4月27日、撮影/JMPA)
《雅楽演奏会をご鑑賞》愛子さま、春の訪れを感じさせる装い 母・雅子さまと同じ「光沢×ピンク」コーデ
NEWSポストセブン
自宅で
中山美穂はなぜ「月9」で大記録を打ち立てることができたのか 最高視聴率25%、オリコン30万枚以上を3回達成した「唯一の女優」
NEWSポストセブン