芸能

毒蝮×木久扇対談「タチが悪いのは自分を上等に見せようとする利口バカ」

偉大なるバカの先達から人生が楽になる秘訣まで存分に語り合った

偉大なるバカの先達から人生が楽になる秘訣まで存分に語り合った

“おバカキャラ”で『笑点』の大喜利コーナーを沸かせる落語家・林家木久扇(84)。「バカになるほど愛される」という人生の本質を見つけた木久扇が、その生き方をまとめたエッセイ『バカのすすめ』(ダイヤモンド社)を3月に上梓した。それを記念し、木久扇の「バカの魅力」を知る旧知の俳優でタレントの毒蝮三太夫(85)との対談が実現。偉大なるバカの先達から人生が楽になる秘訣まで、存分に語り合った。【全3回の第2回。第1回から読む

 * * *
毒蝮:立川談志と木久ちゃんは、噺家としてぜんぜんタイプが違うけど、なんでウマが合ったのか、そこが不思議だね。

木久扇:ぼくが前座だった頃、夏の日に上野の鈴本演芸場の楽屋に行ったら、談志さんがいたんです。当時はまだ二つ目の柳家小ゑんさんでした。

毒蝮:俺の結婚式の司会をしてくれた頃だ。

木久扇:高座から降りてきた談志さんが、「暑いな。こういう日は高座に上がったあとに風呂に行くといいんだよな」って言ってる。ぼくは自分が使うつもりでお風呂道具を一式持ってたんです。それを「どうぞ」って渡したら、「おまえすげえな!」って喜んでくれて。それからキャバレーで仕事の時とか、鞄持ちで連れて行ってくれました。

毒蝮:風呂道具の話は初めて聞いた。それは気が利くよ。気がキクちゃんだ。あいつの高座も好きだったの?

木久扇:談志さんは、いつも難しい噺ばっかりやるんですよね。上手いんだろうけど、あんまりよく聞いてませんでした。ぼくは「山のアナアナ」の三遊亭圓歌さんや、先代の林家三平さんみたいなわかりやすい噺家が好きなんです。

毒蝮:そりゃいいや。俺もあいつが二つ目の頃、当時やってた劇団の仲間と5人で海水浴に行った帰りに、横浜の相鉄演芸場に談志が出てるってんで、みんなで寄ったことがある。タダで入れてくれたんだけど、いちばん前で並んで座って、そのときも難しい噺をやってたな。こっちは海水浴帰りだから、みんなグーグー寝ちゃったんだよね。あとから「お前ら、いいかげんにしろ」って怒ってたけど、「寝られるぐらいいい話だったんだよ」って言ってやった。

木久扇:落語の話は、談志さんとはした覚えがないですね。「お前はバカだから」って言われて。独演会のときも、開演前に差し入れだけして噺は聞かずに帰ってました。

毒蝮:だけど、談志はそんな木久ちゃんが大好きだった。木久ちゃんだって、談志が好きだったわけだよね。

木久扇:ぼくは、世間の物差しで測れない人が大好きなんです。横山やすしさんとも仲良しでした。人が思っていることじゃなくて、どっか違うことをやるような。

関連記事

トピックス

2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
卓球混合団体W杯決勝・中国-日本/張本智和(ABACA PRESS/時事通信フォト)
《日中関係悪化がスポーツにも波及》中国の会場で大ブーイングを受けた卓球の張本智和選手 中国人選手に一矢報いた“鬼気迫るプレー”はなぜ実現できたのか?臨床心理士がメンタルを分析
NEWSポストセブン
数年前から表舞台に姿を現わさないことが増えた習近平・国家主席(写真/AFLO)
執拗に日本への攻撃を繰り返す中国、裏にあるのは習近平・国家主席の“焦り”か 健康不安説が指摘されるなか囁かれる「台湾有事」前倒し説
週刊ポスト
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
パーキンソン病であることを公表した美川憲一
《美川憲一が車イスから自ら降り立ち…》12月の復帰ステージは完売、「洞不全症候群」「パーキンソン病」で活動休止中も復帰コンサートに懸ける“特別な想い”【ファンは復帰を待望】 
NEWSポストセブン
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン