毒蝮:花見に行ったら、誰かが酒の四合瓶にしょんべんして、それを別のヤツが間違えて飲んじゃった。「誰だこんなとこにしょんべん置いたのは!」って怒ったら、入れたやつが「俺も飲むからいいじゃないか」ってグーっと飲んじゃった。「これでおあいこだ」なんて言ってる。そんな連中だったからね。
木久扇:噺家の世界も、今は学校の教室みたいになっちゃった。入りたての新人でも、ソツがなくて、失敗しない。もっとバカにならないと。
毒蝮:バカは迷惑なところもあるんだけど、すごく魅力的でもあるよね。
木久扇:この頃の若い人は、バカにならないようにしよう、人からバカにされないようにしようと一生懸命になってるように見えます。それだと自分もつらくなるし、人も寄ってこない。毎日がつまんなくなっちゃう。
(第3回につづく)
【聞き手・構成】
石原壮一郎(いしはら・そういちろう)/1963年、三重県生まれ。コラムニスト。『大人養成講座』『大人力検定』など著書多数。林家木久扇著『バカのすすめ』の構成を担当した。
※週刊ポスト2022年4月8・15日号