「長野から上京したのですが、当時、郵便局で働いていて、先輩の寮がこの店の近くにあったんです。よく酒を買いにきていたのが縁で、この店の娘と一緒になりましてね、勤めを辞めて先代の義父から酒屋を継ぎました。

 屋号の“十一は、奇数で割り切れないでしょ?“縁が切れない”っていう意味もあるんです。いいお客さんとの縁もあって、こうやってのんびり角打ちを楽しんでいます。あと10年で酒屋は100周年だから、そこまで頑張れたらいいよね」(店主・江村さん)

3代目店主・江村健二さんは「商店街の会長も務める紳士」と皆に慕われている

3代目店主・江村健二さんは「商店街の会長も務める紳士」と皆に慕われている

 店主が心を込めて手作りするつまみも評判だ。

「角打ちを始めたばかりのころは、缶詰と乾きものしかなかったんですよ。そのうち、大将がポテサラ作ったから、食べてみてよって。それからは、色々試食して、ダメ出しなんかもしているうちに、どんどんメニューが増えてきましたね」(50代、営業)

「ポテサラは、しっとりまろやかでおいしいですよ」(50代)

「燻製料理もあってね、ここで燻した味玉やししゃもは絶品だよ。安くて旨くて酒が進む。大将はいつも忙しそうだから、私はつまみを注文するときはメモに書いて渡しているんですよ」(50代)

「私はつまみの注文が3つ以上覚えられないからね」と言う店主に、「私なんて、3歩歩いたらたいがいのことは忘れちゃうよ!」と常連客が応じて笑い合う。誰もが満面の笑みだ。

わさびをちょっとつけて食べるのがおすすめ」という特製ポテサラを引き立てる酒は『焼酎ハイボール』

わさびをちょっとつけて食べるのがおすすめ」という特製ポテサラを引き立てる酒は『焼酎ハイボール』

 温かい団欒のひとときに一役買うのはいつもの焼酎ハイボール。

「心地よく酔える馴染みの味。焼酎のうまみを感じる酒だね」(50代)。

 ほろ酔い仲間たちは、今宵も絆を深めている。

2022年3月7日取材

年季の入った看板と小さな白い提灯が目印

年季の入った看板と小さな白い提灯が目印

■十一屋酒店
【住所】東京都練馬区貫井1-6-8
【電話番号】03-3970-0300
【営業時間】17時~21時半、木・日・祝日定休
焼酎ハイボール210円、ビール大びん495円、ポテトサラダ165円、無限ピーマン130円、燻製たまご80円
※営業時間等は店舗にお問い合わせください。撮影時はマスクを外しています。

関連記事

トピックス

役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン