“反ワクチン派”のご近所さんにうんざりしているという声もある。
「商工会でワクチン接種について話していたら、『コロナ脳はこれだから』と話の腰を折るんです。もちろん、いろんな意見があると思いますが、『コロナに関しては専門家だって断言できないでしょ』とこちらが言うと、ネットや雑誌から拾ってきた知識を猛烈な勢いでひけらかし、こちらが納得するまで止まらない。面倒くさいので、『なるほどね』と言って、その場はやり過ごしました」
コミュニケーション研究家で心理学者の藤田尚弓さんは、こうした「論破好き」たちとは、距離を置くしか解決策がないと言う。
「論破している自分がカッコいい、頭がいいと考えるナルシシズム傾向の強い人とは、基本的に距離を置いた方がいい。しかし、家族や上司など距離を置くのが難しい場合は、相手を尊重しながら、適切な表現で伝えていくしかない。『そんなことを言うと恥ずかしいよ』『人を傷つけてしまうよ』と伝え、自身のやっていることが『カッコ悪い』と相手が気づけば、変化していくはず」
エグゼクティブ・スピーチコーチ&コミュニケーション・ストラテジスト(戦略研究家)の岡本純子さんは、「聞き流す」ことをすすめる。
「人間には、理解されたいという根源的な本能があります。それを満たしてくれる人を探してコミュニケーションをしようとするのです。反論すると戦いになるので、うまくかわすのが身のため。『そうね』と少しだけ共感してあげるのがいい。その上で、『こういうふうにしてくれたら、もっとうれしい』と伝えましょう」
年を取ると頑固になりやすい。「言い争う」より、のらりくらりとかわす方が強い場面もあると覚えておきたい。
※女性セブン2022年5月5日号