6種類以上の服用で副作用が増加
たった一粒の薬が呼び込む思いもよらない病気や不調。これだけでも恐ろしいが、さらに気をつけるべきは複数の薬を一緒にのむことで起きる「多剤処方」の問題だ。
「年を重ねるほどに抱える病気は増え、それに従って服用する薬は増えていきますが、その分副作用が出る確率も高まってしまう。これは『ポリファーマシー』と呼ばれ、大きな問題になっています。実際に老人ホームにいる高齢者の場合などでは10種類以上の薬をのんでいる人が多いのです」(谷本さん)
厚生労働省の統計によれば、75才以上の日本人のうち、約4人に1人が7種類以上の薬をのんでいるという。一方で、日本老年医学会のガイドラインは処方薬が6種類以上になれば副作用が増加し、ふらつきや転倒のリスクが大幅に上昇することを報告している。高瀬さんも声を揃える。
「高齢になると複数の病気を抱えるうえ、薬の副作用を病気だと思い込んで、複数の病院にかかり、そのたびに処方薬が増えていくケースが非常に多い。うつや不眠症の薬を何種類も処方されたうえ、生活習慣病の薬も服用して、副作用でふらつきや認知機能の低下が起き、歩けないしものも覚えられないという患者はたくさんいます。
薬ののみすぎが原因で食事もとれないほど弱っていた人が、服用をやめることで回復するケースは枚挙にいとまがありません」
※女性セブン2022年5月5日号