小池栄子からもいじられる(時事通信フォト)
複雑極まりない頼朝を演じる凄み
『鎌倉殿の13人』ホームページの「登場人物」に書かれた源頼朝のプロフィールは、「源氏のプリンスだったが、一族を平家に滅ぼされ流罪に。伊東家で監視され、長く孤独な生活を送ってきたため、他人には決して本心を明かさない。のちの鎌倉幕府初代将軍」。
「源氏のプリンス」だけに大泉さんは脚本家の三谷幸喜さんから「雅な頼朝を演じてほしい」と言われていたそうです。また、流人として耐え忍ぶ日々を送ってきため警戒心が強く、それでいて女性からはめっぽうモテる。さらに、目的のためには手段を選ばない冷徹さがある一方で、髷の中に観音像を隠し持つ信心深さもあり……という複雑極まりない人物像なのです。
高貴であり、冷徹さもあり、コミカルさもある……そんな変幻自在の演技を評価されていることも大泉さんの強み。実際、ネット上のコメントを見ていくと、「最初イメージが全然違うと思っていましたが、今ではすっかり大泉洋=頼朝です。あの顔で冷酷さを出せるのがすごい」という声が多いことに気づかされます。
しかし、頼朝の非情な面がフィーチャーされているということは、それだけ将軍になり、さらには「死が近づいていている」ということ。『鎌倉殿の13人』というタイトル通り、頼朝の死後に行われた13人の合議制を描くドラマであり、主人公が北条義時である以上、大泉さんの登場シーンが少なくなっているのは間違いありません。
残り少なくなりつつある出番で大泉さんはどんな演技と新たな頼朝像を見せてくれるのか。また、視聴者たちはどんな「#鎌倉殿どうでしょう」ツイートをするのか。これまで以上に注目を集めることになるでしょう。
ただ、菅田将暉さん演じる弟・源義経に対する仕打ちがどんなに酷いものだとしても、大泉さんはけっきょく悪役にならず、やっぱり愛情たっぷりのイジリを受けるのではないでしょうか。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。
『水曜どうでしょう』からブレイクした大泉洋(時事通信フォト)
大泉洋と小池栄子の息はピッタリ