米ロサンゼルス発デンバー行きの旅客機にマスクを着用せずに搭乗する乗客ら。アメリカでは4月末から公共交通機関でのマスク着用義務が解除された(AFP=時事)

米ロサンゼルス発デンバー行きの旅客機にマスクを着用せずに搭乗する乗客ら。アメリカでは4月末から公共交通機関でのマスク着用義務が解除された(AFP=時事)

マスク着用は父兄に対するリスク回避

 ここで断っておくが、日本政府はマスクの着用を義務化したことなど一度もない。それどころか「注意・マスク着用により、熱中症のリスクが高まります」として環境省および厚生労働省は2021年6月、「熱中症を防ぐためにマスクをはずしましょう」と題したリーフレットを国民に向けて作成している。暑い日、屋外で2メートル以上かつ十分な距離が離れている時はマスクをはずしてくださいと言っている。しかしこの子供サッカーの一団だけでなく、日本中の多くがそうでないことはみなさん承知の通りだと思う。

 この数日前、同じく関東近郊の小学校では笛の合図とともに子供たちがマスク姿で短距離走を繰り返していた。曇り空だったが湿度は高い。都心の小学校は塀が高く部外者にまったく見えない状態の学校も多いが、この小学校は駅からも遠く民家もまばら、地域柄おおらかなのか柵越しに校庭を一望できる。スポーツ庁は2020年の通達「学校の体育の授業におけるマスク着用の必要性について」において「運動時のマスク着用による身体へのリスクを考慮して、学校の体育の授業におけるマスクの着用は必要ありません」としているのにそうではない。実際、この通達があったにも関わらず、2021年2月には大阪府高槻市で体育中に熱中症で当時小学5年生の児童が命を落とした。マスクとの因果関係は不明だが、マスクで持久走中の死亡事故だった。政府がその前年の省庁発表でマスクをしなくていい、と言っていたにも関わらず、学校側が小学生に対してマスクで持久走を強いていたことは事実である。匿名を条件に、旧知の小学校教員複数からコメントを寄せてもらった。※一部を本稿用に筆者が改めた上で抜粋、補稿。差し障りのあるスラングも適時改めた

「体育ではしなくていいと知っていても、クラスターなど万が一の感染で責任が学校に及ぶ。担任の責任になる。学校現場は医療機関ではないのでマスクの効果より、マスクをしていたかどうかが大事で、父兄に対するリスク回避である。していなかった場合、感染源とされる可能性もある」

「マスクをしろという親はいても、マスクをするなという親は少ない。他の学校がどうかは関係なく、うちの学校がそうなら前者に従うということ。それ以上のことは何もできない。個人的にはマスクの強制に不満で匿名発信しているが、ネットで書くのとリアルの仕事は別。それは学校に限らないのではないか」

「田舎というのもあるが、ノーマスクと教員が言ったら大変なことになる。都会に住んで、とくに社会的な立場がないとか、自由に生きても平気な人は違うだろうが、現実は違う。国や自治体がマスクの必要はない、と言っても現場は違う。マスク禁止なら話は別だが、そうではない。もっと強い通達を出してほしい」

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