小麦の価格高騰で値上げの日は着々と近づいているが、壊れた麩菓子を工場で安く直売するなど無駄を省く努力は怠らない。

乾燥機の熱がこもり、夏は灼熱の環境となる(撮影/古川 章)

乾燥機の熱がこもり、夏は灼熱の環境となる

「会社を創立した祖父の代から味はまったく変わりません」(専務取締役・根本和浩さん)

「会社を創立した祖父の代から味はまったく変わりません」(専務取締役・根本和浩さん)

きなこ棒(どりこ飴本舗 西島製菓)

水、黒糖、水飴を溶かし混ぜて黒蜜を作る(撮影/古川 章)

水、黒糖、水飴を溶かし混ぜて黒蜜を作る

 鍵屋製菓と同じく東京・錦糸町に工場を構える西島製菓が扱うのは、きなこ棒のみ。水、黒糖、水飴、きな粉と材料はシンプルだが、生産には熟練の技が必要だ。代表の西島誠さんは、材料を混ぜるたび粘度の変わるペーストに合わせ、ペーストを円筒形に押し出す機械の圧力をつきっきりで調整している。

きな粉の上に黒蜜を注ぎ、練ること3分(撮影/古川 章)

きな粉の上に黒蜜を注ぎ、練ること3分

 きなこ棒といえば当たり棒の存在が欠かせない。食べ終わった後、つまようじの先が赤いと当たり。駄菓子屋でそのようじを渡せば、もう1本無料でもらえる。1箱45本入りのうち、当たりは5本。原材料や梱包資材は年々値上がりし、過去には価格を据え置いたまま当たりの数を減らす苦渋の決断もした。

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