憧れの先輩・木村が扮する桐沢の授業をきらきらした表情で見つめる
俳優としての転換点と今後の目標
授業でノートを取るようになるなど、桐沢と出会って槙が変わる様子を実感しながら演じているという。
「人をあまり信じられずにナナメから物事を見ているというか、桐沢さんがボクシングのことしかわからないとか、教壇に立つのは久しぶりと聞いて“この人大丈夫?”といぶかしがるような生徒でした。そんな上っ面で人を判断していた槙が、次第にまっすぐ相手と向き合えるようになってきている。桐沢さんとの出会いは槙の未来への重要な転換点になっていると感じます」
では、自身にとっての転換点とは。
「お芝居にゼロから取り組んだ『仮面ライダーセイバー』ではしがみつくのが精いっぱいで、どうしたらいいんだと頭を抱えて朝まで一睡もできない日が何度もあったんです。それでもライダーとして1年間育てていただいて、現場でも少しずつ自分から動けるようになりました。夢はまわりの人を笑顔にできる俳優さんです。今回の作品を通じて木村さんなど先輩がたの心遣いに触れて、こうなりたいという理想像が具体的に思い描けるようになってきました」
右も左もわからなかったデビュー当時は、故郷・山形の味で心を癒してパワーチャージしていた。
「郷土料理の芋煮が好物で、実家のおばあちゃんが作った野菜を送ってもらって自分でも作りました。最近は鮭の塩焼きをよく作ります。海の近くで育ったので肉よりも魚派です。田舎の子だったので小さい頃は都会のヤンキーが強くてかっこよく見えて、たばこ風の駄菓子を食べて悪い子ぶってみたことも(笑い)。いつかゴリゴリのヤンキーを演じてみたいです」
その機会が訪れたとき、反抗期もなくすくすく育ったという富樫はどんなギャップを見せてくれるのだろうか。俳優として走り出したばかりの彼が色とりどりの転換点を経てどう変わっていくのか、期待が膨らむ。
【プロフィール】
富樫慧士(とがし・えいじ)/2001年6月27日生まれ。山形県出身。A型。2017年に「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」において準グランプリ・QBナビゲーター賞を受賞し芸能界入り。主な出演作にドラマ『仮面ライダーセイバー』(テレビ朝日系)、『絶対BLになる世界VS絶対BLになりたくない男 シーズン2』(CSテレ朝チャンネル1)、映画『仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ』(2021)など。
撮影/田中智久 取材・文/渡部美也
※女性セブン2022年6月9日号