ライフ

「カツオ水揚げ量35倍」は前兆? 阪神・淡路ではマダイ、東日本大震災ではカレイの豊漁報告

カツオの豊漁が意味するものとは?

カツオの豊漁が意味するものとは?

 豊漁でお手頃価格となり、テレビで連日取り上げられている「カツオ」。家計の“救世主”が、本当に私たちの命を助けてくれるかもしれない。過去の大地震では、まず漁港で異変が起こっていた。豊漁が意味する重要な“サイン”を専門家が指摘する。

 6月中旬、スーパーの店内で何人もの主婦が足を止めたのは鮮魚コーナーだった。彼女たちが、次々に手を伸ばしていたのは、「カツオの刺身」だ。今年のカツオは例年より脂が乗って弾力があるうえ、4月の半額ほどで味わえる。

 お手頃価格の理由は「異例の豊漁」だ。もともと5〜6月にかけて漁の最盛期を迎えるが、カツオの水揚げで知られる千葉の勝浦港や銚子港では、5月の水揚げ量が4月と比べて35倍にも跳ね上がったという。食品や日用品の値上げが続くなか、家計にとってはうれしいニュースだが、喜んでばかりではいられない。武蔵野学院大学特任教授で地球物理学者の島村英紀さんが話す。

「異例の豊漁が続いた後に、大地震が発生するケースは少なくありません。カツオの豊漁がなんらかのサインである可能性も考えられます」

 これまでも大地震の発生前に魚が異常な行動を見せる例は多くあった。たとえば、1995年の阪神・淡路大震災では、震源となった淡路島の沖合でマダイが大量に網にかかった。地震発生4日前の1月13日は32kgと平年並みの水揚げだったが、前日の1月16日には1200kgを記録したのだ。通常の40倍近い豊漁に沸いた直後、港町は大きな揺れに襲われた。

 2011年3月の東日本大震災の直前にも、海の中で変化が起こっていた。津波に襲われた岩手県沿岸部の大槌町沖でカレイが、同じく甚大な津波被害に遭った福島県浪江町ではアイナメが豊漁だったと報じられている。

 東日本ではないが、同時期に西日本でも異変が見られた。徳島・小松島漁港で1〜2月、例年の2〜4倍のイカが水揚げされたのだ。ベテラン漁師は地元新聞の取材に対してこう話している。

「阪神・淡路大震災のときもそうだが、1946年の昭和南海地震の直前にもイカが大量にとれた。あまりに大漁なので、変だと思っていた」

 前出の島村さんも地震にまつわる伝承は確かにあるという。

「東北の三陸地方では、『イワシが大漁の年には大地震が来る』という言い伝えがあります。明治三陸地震(1896年)と昭和三陸地震(1933年)の直前には、イワシが異常なほどとれたそうです」

 なぜ豊漁が地震と結びつくのか。

「地震発生の前段階として、海底で岩盤がぶつかり合ったり、割れたりするのですが、その際に電流や磁気などが発生するという研究結果があります。水中生物は微弱な変化を敏感に捉えるセンサーを持っており、その感度は人間が作ったセンサーよりも桁違いに高い。水中生物が海底からの異常を感じ取ることで、彼らの生態や行動に異変が生じた可能性があります」(島村さん・以下同)

関連キーワード

関連記事

トピックス

デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト/目撃者提供)
《前橋・小川市長が出直し選挙での「出馬」を明言》「ベッドは使ってはいないですけど…」「これは許していただきたい」市長が市民対話会で釈明、市議らは辞職を勧告も 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン
維新に新たな公金還流疑惑(左から吉村洋文・代表、藤田文武・共同代表/時事通信フォト)
【スクープ!新たな公金還流疑惑】藤田文武・共同代表ほか「維新の会」議員が党広報局長の“身内のデザイン会社”に約948万円を支出、うち約310万円が公金 党本部は「還流にはあたらない」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《ほっそりスタイルに》“ラブホ通い詰め”報道の前橋・小川晶市長のSNSに“異変”…支援団体幹部は「俺はこれから逆襲すべきだと思ってる」
NEWSポストセブン
東京・国立駅
《積水10億円解体マンションがついに更地に》現場責任者が“涙ながらの謝罪行脚” 解体の裏側と住民たちの本音「いつできるんだろうね」と楽しみにしていたくらい
NEWSポストセブン
今季のナ・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出され史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平、妻の真美子さん(時事通信フォト)
《なぜ真美子さんにキスしないのか》大谷翔平、MVP受賞の瞬間に見せた動きに海外ファンが違和感を持つ理由【海外メディアが指摘】
NEWSポストセブン
柄本時生と前妻・入来茉里(左/公式YouTubeチャンネルより、右/Instagramより)
《さとうほなみと再婚》前妻・入来茉里は離婚後に卵子凍結を公表…柄本時生の活躍の裏で抱えていた“複雑な感情” 久々のグラビア挑戦の背景
NEWSポストセブン