千葉県を津波が襲う可能性も。写真は東日本大震災で被災した岩手県宮古市(時事通信フォト)
地震の予兆とプランクトン増
実際に行動パターンにも変化が訪れている。いま、大量に水揚げされているカツオは千葉県沖から三宅島、八丈島近海でとれたものだ。回遊魚であるカツオは例年1〜2月頃にフィリピンやインドネシア沖の亜熱帯海域から三陸沖に向かって北上を始め、8〜9月頃に三陸沖に至ると、秋口にUターンして亜熱帯海域を目指す。しかし、近年では亜熱帯海域まで南下せずに、日本の近海で越冬する群れもいるという。
「現在、小笠原諸島では2021年8月に海底火山の福徳岡ノ場が噴火するなど、活発な活動が見られています。火山活動によって海水温や海底環境が変わり、イワシが集まったことで、イワシをエサとするカツオが日本近海にとどまったことも考えられます」
本来、イワシは春から夏にかけて北海道沖や三陸沖に移動する。島村さんはカツオがエサとしているイワシが日本近海にとどまっていることこそに警鐘を鳴らす。東京大学名誉教授で水産学者だった故・末広恭雄氏は1933年の昭和三陸地震の直後に発表した研究論文『魚類を通して見た地震』のなかで、地震とプランクトンの関係性を指摘している。
地震発生前日の夕刻、神奈川県の三浦沖で捕獲されたイワシの腹に、通常の5倍の定着性プランクトンが確認されたという。定着性プランクトンとは、海底のプランクトンだ。通常イワシは海面近くを群れで泳ぐため、地震の直前に、なんらかの変化が海底であり、プランクトンが浮き上がったと分析されている。
海底の異変を示唆する現象としては、豊漁のほか、異常な不漁、珍しい深海魚の出現なども考えられるという。