侮辱罪の厳罰化についてさらに議論が高まったのが、誹謗中傷を受けていたプロレスラーの木村花さんが亡くなった2020年の出来事だ。

木村響子さん、松永拓也さん、スマイリーキクチ、弁護士らが会見に臨んだ(6月13日)。

木村響子さん、松永拓也さん、スマイリーキクチ、弁護士らが会見に臨んだ(6月13日)。

 今回の厳罰化の可決を受けて、木村花さんの母で「REMEMBER HANA」代表理事・木村響子さん、「一般社団法人関東交通犯罪遺族の会(あいの会)」副代表理事でもある松永拓也さん、1999年から誹謗中傷と闘ってきたスマイリーキクチらが記者会見を行った。

「誹謗中傷は犯罪だとみなさんに知ってほしくて、見たくもない書き込みを集めて起訴の準備をした。やっとの思いで起訴できたと思ったら、ニュースで科料9000円と大きく報じられた。『それなら9000円払って言いたいことを言った方がいい』という雰囲気になり、抑止力にならなかった」と当時の悔しさを振り返る木村さんは、「やっとという思い」「これで終わりではなく、ここからが始まりです」と言う。

 スマイリーキクチは1999年頃から、インターネット掲示板に「殺人事件の犯人だ」という事実無根の書き込みをされ、瞬く間に拡散された。それを受けて誹謗中傷が始まり、「毎日、死ねと書き込みされる」ようになったという。仕事を休止に追い込まれ、体調にも影響が出た。いまは学校などで講演を行ったり、自らの被害経験をインターネットの啓発活動に生かす。

「誹謗中傷は、砂場に磁石を入れるように一瞬で広がっていく。ようやく厳罰化にたどり着いたという思い。1907年に作られた法律をそのまま使っていたのがおかしい。子どもたちに自分の経験を話すと『自分なら死んでた』『なんで生きていたんですか』と聞かれる。それくらい、ネットと命の距離は近いことを知ってほしい」

「いつも学校でお話ししているんですが、投稿する前に、まず一度、止める。この“止”という漢字の上に漢字の“一”を足すと“正”という漢字になるので、感情をそのままぶつけずに、一度止めて、そして『これ問題が起きないかな』とか『これ、賠償金を払わなきゃいけないことになるかな』とか。『みんながやってるから』じゃなく、『みんながやってるけどやらない』って気持ちにさせること。そういう、正しいという感情をもってほしい」と語る。

関連記事

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
《浜松・ガールズバー店員2人刺殺》「『お父さん、すみません』と泣いて土下座して…」被害者・竹内朋香さんの夫が振り返る“両手ナイフ男”の凶行からの壮絶な半年間
NEWSポストセブン
リモートワークや打合せに使われることもあるカラオケボックス(写真提供/イメージマート)
《警視庁記者クラブの記者がカラオケボックスで乱痴気騒ぎ》個室内で「行為」に及ぶ人たちの実態 従業員の嘆き「珍しくない話」「注意に行くことになってるけど、仕事とはいえ嫌。逆ギレされることもある」 
NEWSポストセブン
「最長片道切符の旅」を達成した伊藤桃さん
「西国分寺から立川…2駅の移動に7時間半」11000kmを“一筆書き”した鉄旅タレント・伊藤桃が語る「過酷すぎるルート」と「撮り鉄」への本音
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱親方と白鵬氏
旧宮城野部屋力士の一斉改名で角界に波紋 白鵬氏の「鵬」が弟子たちの四股名から消え、「部屋再興がなくなった」「再興できても炎鵬がゼロからのスタートか」の声
NEWSポストセブン
環境活動家のグレタ・トゥンベリさん(22)
《不敵な笑みでテロ組織のデモに参加》“環境少女グレタ・トゥンベリさん”の過激化が止まらずイギリスで逮捕「イスラエルに拿捕され、ギリシャに強制送還されたことも」
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
荒川静香さん以来、約20年ぶりの金メダルを目指す坂本花織選手(写真/AFLO)
《2026年大予測》ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート 坂本花織選手、“りくりゅう”ペアなど日本の「メダル連発」に期待 浅田真央の動向にも注目
女性セブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン