さらに紀伊水道にも活発化の異常が発生。京都とは異なる海溝型の地震となり、南海トラフ地震とも関連する可能性があると長尾氏は指摘する。
「2016年には紀伊半島の南東側で、昭和の東南海地震と同じエリアを震源とするM6.5の地震が発生しました。2018年にも紀伊水道で約半年にわたってプレートがゆっくりと動くスロースリップ現象が確認され、今後も警戒が必要です」
南海トラフ地震と関連する地域では、九州地方南部で「静穏化」の異常が観測されている。
「宮崎県沖で今年1月22日に発生したM6.6、震度5強の地震は、南海トラフ地震の想定震源域に含まれていたため、複数の専門家が危機感を高めました」
他にも静穏化の異常を示した3地域の注意点はマップ上に記した。
最後に長尾氏が、地下天気図との向き合い方についてこう指摘する。
「地下天気図は“地震予知”ではなく、いま地下で起きている異常を示すものです。1995年の兵庫県南部地震以降、地震の観測網は非常に進歩して、地下の色々な異常が分かるようになってきました。唯一分からないのが、いつ地震が起きるかだけなんです。正確な地震予知ができない以上、足下で起きている異常について皆さんが知ることが、防災・減災の第一歩になるのです」
【地下天気図とは】
地下で起きている地殻変動の異常を、天気図に模して示した情報で、長尾氏が取締役を務める株式会社DuMA(地下気象研究所)が提供している。今号では6月22日時点での最新情報をもとに作成したマップを掲載した。同社が発行する有料メルマガ(月額220円)の詳細はhttps://www.duma.co.jp/
※週刊ポスト2022年7月8・15日号