東大合格者数97人(22年、現浪合わせて)という超難関校である「筑波大学附属駒場高校(筑駒)」。1学年約160人の男子校で、東大現役合格率40%超は全国一の実績だ。卒業生の多くは、一流企業はもちろん官僚や弁護士、医師、研究者から政治家まで各界の中心で活躍している。
そうした多くの卒業生のなかで異色の「アダルト業界」に身を置く人物が2人いる。1人は開学以来唯一の「AV男優」として活動する森林原人氏(43)。1999年のデビューから第一線で活躍し続ける森林氏の経験人数は1万人を超えたという。
そしてもう1人が、「女性向け風俗」の現役セラピストである奈央氏。女性向け風俗とは、男性セラピストが女性に対して性的サービスを行なう業態のこと。平日の日中は一流企業のエリート会社員である一方、週末を中心にセラピストとしても活動する。
超名門校に入学しながら、“超独自路線”を歩む2人は、どんな少年時代を送ったのか?
【全3回の第2回。第1回から読む】
森林:そもそも奈央君はなぜ筑駒を目指したの?
奈央:中学受験って子供だけでなく親の意思が強くないとできないと思うんです。僕は5歳で父と死別してから母子家庭で、母親は就学前から開成や筑駒を目指せる子に育てようと思っていたようです。
森林:僕は通っていた公立の小学校が好きじゃなかった。特に先生の偽善的な物言いに反論する生意気な子供だったよ(笑)。多分、当時は“小学校の先生は馬鹿”ってナメてたんだよね……。それで親から「麻布は校則がなくて自由な校風だよ」と聞かされて中学受験をすることになったの。当時は麻布、栄光学園、ラ・サールと受けて、筑駒は記念受験だったけど、全部合格しちゃった。
奈央:僕はそういう自分で受験や進路を決める主体性はまだありませんでしたね。親の意思もあったけど、もともと幼い頃からどこへ行くにも図鑑を引きずっていくような子で勉強するのが好きでした。小4から有名塾のサピックスに通ってテストという“ゲーム”で結果を出すことに夢中になっていましたね。受験では、筑駒のほかに渋谷教育学園幕張と開成にも合格しました。
森林:分かる。僕も風邪を引いて学校は休んでも、日能研を休むのはすごく嫌で泣き叫んだ。平日は毎日塾で日曜午前にテストを受けて、午後の時間だけが僕にとっての余暇。ここで1週間分のテレビのバラエティ番組の録画を見るのが楽しみで、そのリズムを崩さないように過ごしていた。
奈央:いやぁほんと、そういう感じですよね。もう一度やれと言われても無理ですね(笑)。