国際情報

『トップガン』『エルヴィス』大ヒットが示すアメリカの“昭和ブーム”

左から主演のオースティン・バトラー、妻役のオリヴィア・デヨング、バズ・ラーマン監督、トム・ハンクス(EPA=時事)

左から主演のオースティン・バトラー、妻役のオリヴィア・デヨング、バズ・ラーマン監督、トム・ハンクス(EPA=時事)

「過去の人」エルヴィス・プレスリーが蘇った。

 6月24日、全米3906の劇場で公開された『エルヴィス』(配給ワーナーブラザーズ)は最初の週末に興行収入3110万ドル(約42億円)を稼ぎ、目下上映中の『トップガン マーヴェリック』(2960万ドル=約40億円)の記録を抜いた。

『エルヴィス』は、「ロックの王様」プレスリーの人生を『ムーラン・ルージュ』『華麗なるギャツビー』のバズ・ラーマン監督(オーストラリア出身)のメガホンで映画化した新作だ。ザ・ビートルズやクイーンなど後に続く多くのアーティストたちに影響を与え、「世界で最も売れたソロアーティスト」として1950年代から1970年代までロック界に君臨したプレスリーの42年の生涯を描いた。

 派手な衣装に身を包み、腰を小刻みに振って、つま先立ちでセクシーに踊りながら歌うパフォーマンスは、宗教保守層からは忌み嫌われたが、ティーンエイジャーの女の子を中心とした若者たちは熱狂した。

 南部テネシー州の貧しいエバンジェリカルズ(キリスト教福音派)の家に生まれ、黒人低所得層に交じって幼年期を過ごしたため、幼い頃から黒人の音楽に慣れ親しんだ。それが、「黒人のように歌い踊る白人エンターテイナー」の原点だった。ローカルラジオで時々歌っていたのがスカウトの目に留まり、州内各地でツアー公演。それを足場に全米に羽ばたいた。ところが、海外で公演したことは一度もない。世界に向けた公演はすべて衛星中継だった。

 マネージャーだったコーネル・トム・パーカー(コーネル=大佐の名称は軍役とは全く無関係で、選挙応援したルイジアナ州知事がニックネームとして授けた)がオランダから不法入国していたため、ひとたびアメリカから出国すると再入国できなくなることから海外公演は拒否したとされている。映画では、パーカー役を大御所のトム・ハンクスが演じている。パーカーはプレスリーの才能を見出した恩人だったが、強欲でプレスリーが稼いだ出演料の半分を一方的に取り、楽曲印税などの権利を独断で売買する。その金の大半をギャンブルに費やしていた。映画評論家のなかには、数々の輝かしい実績を持つハンクスが汚れ役を引き受けたことに批判的な声さえ出ている。

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン