騒動後に父・靖さん(左)は亡くなった(時事通信フォト)
「新しい四股名」の意味
7月場所での復帰に合わせて、四股名が「朝乃山英樹」から「朝乃山広暉」に改められると発表された。そこには、朝乃山の“父への思いと決意”が込められているという。
「2016年の初土俵の時は本名の『石橋広暉』で土俵に上がり、新十両昇進時に『朝乃山英樹』と改名した経緯がある。この『英樹』は、母校の富山商相撲部の元監督で2017年1月に亡くなった浦山英樹さんからもらった名前でした。
恩師への感謝を込めてつけた四股名で大関まで駆け上がった。その後に6場所出場停止処分を受けたわけですが、再起の土俵を見るという願いが叶わなかった父・靖さんのために、父親がつけてくれた本名の『広暉』に改めたのです。これは朝乃山からの申し出だったという」(協会関係者)
「広」の字には心の広い人間になってほしいとの願いが、「暉」は名前にはあまり使われない漢字だが、人と同じではない人生を生きてもらいたいとの思いで命名された。
「心機一転を図り、父と共に復帰の土俵に上がりたいという気持ちの表われでしょう。父の死を乗り越えて稽古に励み、再び大関に返り咲くことを決意したといいます」(同前)
大相撲の世界では十両以上の関取と、幕下以下の力士では、天と地ほど待遇が違う。協会からの月給の有無から、相撲部屋で大部屋生活となるか個室が与えられるかなど、大きな違いがある。稽古時のまわしの色も、関取は白、幕下以下は黒だ。
3月場所前には高砂部屋の公式ツイッターに稽古動画が投稿されたが、幕下の深井を右四つから寄り切る朝乃山は、黒の稽古まわしをつけていた。
高砂一門関係者が言う。
「コロナ禍で出入りが制限されるために稽古内容の詳細まではわからないが、今でも朝乃山が部屋でいちばん強いのは間違いない。現在の部屋頭である十両の朝乃若が稽古場では歯が立たないそうです。
そうしたこともあってか、3月場所で幕下に転落した後も個室を使っている。さすがに大部屋で寝泊まりしろとは言えないのでしょう。表向きは部屋の雑用も率先してやっていると説明されているが、朝乃若の付け人にしたり、朝乃若が朝乃山に対してコンビニでの買い物を命じたりできるはずがない」