万病を招く下剤への依存から脱却するために重要なのは、薬の量を把握することだ。松生さんは、便秘を「軽度」「中等症」「重度」に分類して、治療法を確立している。
「軽度」は、常用量以内の下剤をほぼ毎日1年以上服用しているか、1回あたりの服用量が常用量より多い人だ。
「中等症」は、常用量の2~3倍の下剤を、毎日1年以上服用しているか、常用量以内の下剤を数種類、ほぼ毎日服用している人を指す。
「重度」には、常用量の5~10倍以上の下剤をほぼ毎日、1年以上服用しているか、常用量の数倍の下剤を2種類以上、毎日服用している人が分類される。
「まずはどのくらいの量を服用しているかを書き出してみることから始めてください。中等症以上の人は、病院で治療を受けることを推奨します。治療には半年~2年ほどかかることもありますが、腸の状態を改善すれば、自分の力で排便できるようになります」
軽度であれば、セルフケアを試してみよう。
「1週間の食事を振り返って、どんな食材をどのくらい食べたかを書き出してください。便秘と最も関係が深いのは、食事内容です。重視すべきは食物繊維の摂取量で、女性なら1日20gを目標にしてほしいところです。また、特に朝食は腸の蠕動運動を促すので、便秘のためには1日3回の食事を摂った方がいい」
便秘改善の食事として、松生さんは「地中海式和食」を提唱する。
「和食と地中海食の“いいとこ取り”です。主食は米や玄米などの穀物を摂って、肉は少なめに、魚や野菜を多く食べてください。納豆やヨーグルトなどの発酵食品も欠かさずに。便通改善には良質な脂も摂ってください。毎日、スプーン1杯程度のエクストラバージンオイルを摂ることをすすめます」
腸の蠕動運動を促し、いきむためには腹筋運動も有効だ。
「いきむために大事なのは、お腹の中央にある腹直筋。女性は男性に比べて筋肉が少ないので、腹筋を鍛えておくことが便秘改善につながります。腹筋は継続することが難しいという人が多いのですが、『自転車こぎ運動』であれば布団の中でも手軽に取り入れられます。朝起きたときや、就寝前に行うとつづけやすくなります」
※女性セブン2022年8月4日号