ライフ

“日本で一番本を売る”TikTokerけんご「研修初日で内定辞退」の過去

けんご

「けんご@小説紹介」さんが語った意外な過去

 ティーン世代の男女がダンスする映像があふれる「TikTok」で、小説の紹介をする投稿者がいると話題になっている。それが「けんご@小説紹介」さん。『残像に口紅を』(中央公論新社)、『レゾンデートルの祈り』(KADOKAWA)などは彼が動画で取り上げた途端、増刷が決まったという“伝説”がある。「日本で一番本を売る動画クリエイター」と呼ばれる彼の意外な経歴とは。

 * * *
 小中高、そして大学まで野球一色の人生でした。守備のポジションはセンター。調子のいいときだと、1番バッターを任されました。脇目もふらず、野球漬けの日々で、ひたすら白球を追っていましたね。とくに高校野球部時代は、あまりに練習が厳しくて、毎日しんどかったことをよく覚えています。当時、僕は自転車通学をしていて、「ああ、このまま転んでしまえば、怪我をして練習に行かなくてすむから、楽になれるんだろうな」と思ったことも……。それほど野球に没頭してきた学生生活でした。

 大学はスポーツ推薦を利用して強豪校に入学しました。どれくらいの強豪だったかというと、大学野球部の同期がプロ野球チームからドラフト1位指名を受けるくらいです! でも、周りのレベルの高さに圧倒され、そこで自分の限界を感じました。

 読書を始めたのは、大学1年生のとき。野球部の活動が忙しかったので、「コスパよく時間をつぶせる趣味を持ちたい」と思ったのがきっかけでした。でも、何から読んだらいいかわからなかった。朝から晩まで野球漬けの人しか周囲にいなかったので、みんな読書なんかしていなくて(笑い)。結局、「分厚くてコスパがよさそう」という理由で、東野圭吾さんの『白夜行』(集英社)を手に取りました。とにかくそれが面白かった。まずは売れているものを読もうと思って、伊坂幸太郎さんとか宮部みゆきさんから読み始めていきました。それから、本のオビで知っている作家さんが推薦している本に手を広げ、どんどん枝分かれしていきました。振り返ると、「誰かがいい本を教えてくれたらいいのに」という経験は、いまの活動に生きているかもしれません。

 野球をやめてから、「好きなことをやるより、嫌なことを避ける人生のほうがいいな」と思うようになりました。もう何かに耐えるのはこりごりです(笑い)。だから、せっかく就職が決まった企業があったのですが、研修初日で内定を辞退したことも、僕にとっては“正しい”選択でした。

 内定をいただいていたのは、大手通信会社の営業職です。夏の内定者研修で、スーツを着た内定者がずらりと座って、社長のありがたいお話を聞く場面があったんです。たしか、「気合いを入れろ」みたいな内容だったと思いますが、それがまったく頭に入ってこなくて。「自分はこの人のために一生働くのか?」と疑問を感じてしまったんです。自問自答した結果、答えは「無理だ」。その場で人事の方に「すみません、内定辞退します」と言って退出しました。

関連記事

トピックス

裁判は全面対決に発展(ZUMApress_AFLO)
水原一平被告が裁判で繰り返した「裏付けのない主張」と「暴露」…“厳罰を望む”大谷翔平の言動からにじみ出る静かなる怒り
女性セブン
大木容疑者(共同通信)。頭部が遺棄された廃マンション
《東大阪・バラバラ遺体事件》「部屋前のインターホンが深夜に鳴った。それも何度も」女性住民が語った“恐怖のピンポン”「住民を無差別に狙っていたのか…」
NEWSポストセブン
車に乗り込む織田裕二(2025年1月)
《フジテレビ騒動の影響》織田裕二主演映画『踊る捜査線 N.E.W.』、主要キャストに出演を打診できないままピンチの状態 深津絵里の出演はあるのか
女性セブン
閑散とした場所に喫煙所(城北公園)
【万博まで約2か月・現地ルポ】路上喫煙禁止条例施行の大阪市「喫煙可能な場所を300か所確保」方針で大騒動 「本当にここに必要か?」「鍵が開かない」…問題が続々噴出
週刊ポスト
『東京2025世界陸上』のスペシャルアンバサダーを務める織田裕二
「くすぶって終わりたくない…」 織田裕二がバラエティ出演を辞さなくなった切実な背景《『世界陸上』に緊急復帰の理由》
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「従業員の人が驚くといけないから…」田村瑠奈被告が母・浩子被告に告げた「殺害現場のホテルをキレイにした理由」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「1000人以上の男性と関係を持った」金髪美人インフルエンサー(25)が“乱倫パーティー動画”削除の大ピンチ《世界に波及する“奔放な女”の影響力》
NEWSポストセブン
浩子被告の主張は
「すごい、画期的だ…」娘・田村瑠奈被告と被害男性の“初夜”の日、母・浩子被告が夫に送っていた「驚嘆LINE」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
怒り心頭のマツコ
《所属事務所社長の失踪で“消えた大金”》マツコ・デラックス“年収7億円”“20億円”説に「本当の金額はかけ離れている」と猛反論 
女性セブン
新証拠が明らかに(左は共同通信)
「深夜3時に猛ダッシュ」大木滉斗容疑者(28)の“不可解な奇行”を捉えた新証拠とエリート大学生時代の“意外なエピソード”《東大阪バラバラ遺棄》
NEWSポストセブン
ビアンカ・センソリ(カニエのインスタグラムより)
《過激ファッション》カニエ・ウェストの17歳年下妻、丸出しドレスで『グラミー賞』授賞式に予告なく登場「公然わいせつ」「レッドカーペットから追放すべき」と炎上
NEWSポストセブン
“既婚者のための新しい第3の場所”ここにあります
《家庭・職場だけではない“既婚者のための新しい第3の場所”を》会員数50万人突破!カドル(Cuddle)-既婚者マッチングアプリが提案する新たな出会いの形
NEWSポストセブン